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EP.1 砂浜の少女
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に果物に口を付けた。
「何も入れてやしないよ。……(シャクッ)……ほらね?」
「――――ッ、……あ、ありがとう……ッ!――――」
少女は先の失態を取り返すように礼を言うと、果物に口を付けた。一口かじると顔を綻ばせて急ぐように食べ始めた。
「……たくさんあるからそんなに急がなくても……」
「ッ!? ゴホッゴホッ!」
「ほら、言わんこっちゃない……ほら、飲め」
案の定のどに詰まらせため、ワタルは水筒を少女に渡した。
少女は慌てて飲むとようやく落ち着いたようだった。
「……ハア、すまない」
「……何、気にするな……落ち着いたか?」
「ああ……その、あなたは誰なんだ?」
「俺かい? 俺はワタル・ヤツボシ。今は……訳有って大陸中を旅している魔導士さ、君は?」
「……エルザ。エルザ……スカーレット……」
ワタルは、少し詰まったエルザの様子から、こいつも訳有りみたいだな……、と思い、次の質問に移った。
「そうか……じゃあエルザ、何故あんなところで倒れてたんだ?」
「それは……その……」
「……『ジェラール』、に関係しているのか?」
「ッ、どうしてそれを……!?」
エルザはひどく驚いてワタルに尋ねたが……
「寝言で言ってたぞ」
「く……」
知らない男に寝言を聞かれていた事を知り、言葉に詰まってしまった。
「……まあ、言いたくないなら聞かないさ……これからどうする気だ?」
「待て、私にも聞かせろ。何故私を助けたんだ?」
「何故って言われてもな……」
ワタルは少し考えるとこう言った。
「ここで休んでたら叫び声を聞いてね、それで何かと思ったら君が倒れてたんだ。だから助けた」
「だからそれを何故かと……」
「君は目の前で死にかけている同い年くらいの子供を見捨てて、その後気持ちよく過ごせるか?」
「それは……」
「ならそういうことだ……もう一度聞こう、これからどうする?」
続いたワタルの質問に対し、エルザは、今度は素直に答えた。
「……妖精の尻尾に行こうと思う」
「妖精の尻尾?」
「ああ魔導士ギルドの一つだ……そういえばお前も魔導士、と言ったな。妖精の尻尾を知っているか?」
「いや、知らないな……俺は東の方の出身だから、ここから西、フィオーレのギルドだとは思うが……」
「……あなたもどこかのギルドの一員なのか?」
エルザの質問に、ワタルは少し顔を悲しそうに歪めるとこう言った。
「…………2年程前は、な」
昔の話だ、と悲しそうに言うワタルに、エルザはこれ以上聞くことはできず、黙ってしまった。
「……一緒に行くか?」
「え?」
ワ
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