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故郷は青き星
第十八話
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術の提供。
 そこで交渉が難航した場合の妥協案として、上記に加えて太陽系内の惑星(金星・火星)のテラフォーミング処置。資源を多く含むエッジワース・カイパーベルト──太陽から30天文単位(AU:太陽と地球の平均距離。約1億5000万km)以遠の黄道面(黄道は地球から見た太陽の通る軌跡で、黄道面とは地球の公転軌道を内包する面)に分布する天体(EKBO:Edgeworth-Kuiper Belt Object)が密集したドーナツ状の領域──天体の、地球・月のラグランジェポイントへの移動。
 それでも交渉が進まない場合の条件は、第二の条件に加えて、各技術分野にわたる初期星間文明レベルの技術供与であった。
 しかし最初の二つは連盟における一部の良識派と呼ばれる議員へ配慮したものであって、注意書きに遠まわしに「早い段階で第3案に移行し交渉を早期にまとめろ」という内容が書かれていた。
 エルシャンとしても前世で地球人だったこともあり、自分の職分の範囲で可能な限り地球へ利益を誘導するつもりだった。

 勿論、連盟側から地球へ要求する条件も、それに似合った大きいものとなる。
 地球が1つの政体に統一されていないと言うこともあり、時間的な余裕を考慮してはあるが3年以内に地球の総人口の1割。8億人のパイロットを連盟軍に参加させると言うものであった。
『こいつは大変だ』
 だが必要な事だった。そしてそれだけで済ませる気はエルシャンにも連盟にも無かった。より多くの地球人を、より深くこの戦争に関わらせる。
 それ以外に【敵性体】からこの天の川銀河を守る術は未だ見つかっていない。
『大変だ。大変だ』
 同時に、それだけ地球をも救う唯一の方法でもあった。
『本当に大変だ……』
 そして、銀河を救うと言う目的だけがエルシャン自身の魂を救う最後の方法でもあった。
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