第十八話
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ト適正テストを施しました』
『……勿論、同意は得たのだろうね?』
星間文明以前の種族との接触の場合にパイロット適性テストを施す場合は多いが、建前上本人達の同意を必要とする。何故『建前上』なのかと言えば、特例を作ってその種族を連盟に加盟させるまでの結果が出なければ、接触した個体の記憶消去処置を施して、接触の事実を曖昧にすると言う方法を採るためだった。
連盟とは決して紳士的なだけの組織ではなった。
『はい』
『それで結果を聞かせてもらおう』
少将の声には先を急がせる焦りの色があった。この話の流れで結果が悪かったなどと思う人間は居ない。ましてや直属の上司である自分と一対一で話したいと言うのだから地球人のパイロット適正はかなり高く、フルント星陥落による現在の戦力不足を補える可能性すら期待出来るのでは、と思うのも無理は無かった。
『彼等6名の結果の平均は適正値182です』
この適正値とは、一番重要視されるポイントは反応速度だが、その他にも操縦センスや集中力、同調装置使用に対する耐性など様々な要素を数値化したもので、この数字が実際に同調装置を使った戦闘における強弱を直接的に表すものではない。だが性格的に戦闘に向いてないなどの場合を除けば、そう大きく裏切られる事の無い数字だった。
『……ん?』
明らかに聞きなれない数値に少将は先ず自分の耳を疑った。
パイロット適正値が20を超える者にのみパイロットへの道が開けるが、種族的にパイロットが無理と言う種族も少なくない。そして適正値30程度が連盟軍における平均的なパイロットの適正値。それに対してフルント人を含む高パイロット適正種族と呼ばれる6種族の各平均値は80台後半から90台前半に分布する。如何にフルント人を含む6種族が戦場において圧倒的な存在感を放っていたかが分かる数値差だが、それ故に182という高すぎる値を彼の脳は受け入れられない。
勿論、6種族の中でもエースパ一ロットと呼ばれる個体になれば種族的平均値など軽く飛び越え120台の適正値をたたき出す。
そして、連盟軍史上最高のパイロット適正値を誇っていたのがエルシャンであったが、彼をして適正値は147に過ぎなかった。
『ですから182です。最低で175。最高で186でした。何度も測定しなおし、測定器の故障も疑い何度も確認したので間違いありません』
『……本当?』
次にエルシャンの言葉を疑う。
もっとも、わざわざこんな状況で部下が自分に嘘を吐くと言うのも信じられない。
軍人として指揮官として、長い経験から様々なものを学び、判断力と決断力を身につけてきたはずなのに、初めて戦場に出た新兵の様にうろたえる自分に困惑する。
『こんなことで嘘を吐く意味がありません』
だが必要ならどんな嘘でも吐くエルシャンである。
『……
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