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失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
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第二話「侵入者」
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私でも目に追えない速さ。残像だけが視界に残る中、男たちの眼前に姿を現した兄さんは一番手前のスーツの男に抜き手を放つ。
「ごふっ」
心臓を貫かれた男はそのまま持ち上げられ、頭から地面に叩きつけられた。脳漿が飛び散り、鮮血が大地を朱色に染め上げる。
「こいつ……がっ!」
その隣にいた男の胴に右の回し蹴りを放ち、勢いを殺さず左の後ろ回し蹴りを首に叩きこむ。どういった原理なのか。男の胴体と首が爆散した。
「ヒッ……ヒィィィィッ!」
瞬く間に仲間を葬られた糸目の男はなりふり構わず逃げ出した。手足をもつれさせて必死になって逃げ惑う。しかし――、
「どこに行こうというんだ? 言っただろう、生きてここから帰れると思うな、と」
あっという間に兄さんに追いつかれた男は頭部を掴まれる。まあ、怒り心頭している兄さんから逃げられるのは母さんでも難しいだろう。
「来世では賢く生きるんだな」
糸目の男の頭を握りつぶす兄さん。痙攣する男を投げ捨て、こびりついた脳症を払い落してハンカチで手を拭う。
しばらく周囲を見回していた兄さんだったが、危険は去ったと判断したのか警戒を解いた。地面に座りっぱなしだった私に手を差し伸べてくる。
「大丈夫だったか?」
「あ、ああ。大丈夫だ」
差し出された手を取り立ち上がると、姉さんが唖然とした顔をしていた。
「驚いた……。強いとは聞いていたけど、ここまでだなんて……」
驚愕の表情で兄さんを見つめる。何故かとても誇らしく思えた。
「仮にも朱染でナンバー二の実力を持つ兄さんだしな。あのくらいは余裕だ」
「仮にもは余計だ」
私の頭をくしゃくしゃ撫でる。兄さんは何かとつけて私たちの頭をよく撫でる。子供扱いされて憮然とするが撫でられて嬉しくないはずがない。ただ、惜しむらくは撫でるのは私だけにしてほしいがな――って、何を言っているんだ私は!
「亜愛もよくやったな。特にあの手刀は見事だった」
姉さんの頭を撫でる。嬉しそうにはにかんだ姉さんの顔が何故だか癪にさわった。
「あっ、そうだ萌香。さっきハンカチ落としてたよ」
そういって姉さんはポケットからハンカチを取り出す。それは確かに私がずっと探していた、兄さんから貰ったハンカチだった。
少し汚れてはいるが破れてはいないため、思わず安堵の吐息を零した。
「なんだ、落し物ってそれだったのか?」
「……ああ」
嫌われるのではないかと、再び恐怖心が襲ってくる。まともに目も合わせられず顔を伏せてしまう。
しかし、兄さんは私の頭をいつもの
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