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失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
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第一話「中国からの来訪者」
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て、いかん!
「――破山撞肘」
腹部にもの凄い衝撃が走る! 咄嗟に地面を蹴って後方に跳躍したが、一割程ダメージをもらってしまった。これが中国拳法か……。
「あや〜、今ので決めるつもりだったのに跳んで威力を軽減させるなんて。流石は『殲滅鬼』ね」
「いや、驚いたよ。君の年でこれほどの使い手がいるなんてね。これは思っていたより楽しめそうだ……」
こちらも少々ギアを上げていこうか。己の心の内にあるスイッチを一つ、二つと入れていく。
俺の纏っている空気が変わったのを察したのか、亞愛の頬に冷や汗が伝う。
「ん〜、これは私もヤバいかも。尋常じゃない殺気……素敵、いい兄妹になれそうね私たち」
不敵な笑みを浮かべた亞愛が再び構える。互いに動き出そうと重心を爪先に移動させたその時、一際大きい拍手がホールに響き渡った。
「そこまで。ありがとう亞愛、君の実力はよくわかった。正直期待以上だったよ」
親父の言葉に一礼する亞愛。
「ありがとうございます、お父様」
「うむ。今日はゆっくり休んで、旅の疲れを癒しなさい」
むう、もう少し手合わせしていたかったが、仕方がないな。またの機会にしよう。
「ふ、ふんっ。あんなの大したことないもんっ。千夜兄さま全然本気出してないしっ」
何故か得意気に胸を張る心愛。萌香は顎に手を当てて考え込んでいる様子だった。
「……いや、それは向こうも同じだろう。曲がりなりにもあの兄さんを相手にあそこまで立ち回ったんだ。並みの者なら最初の一撃で終わっていた」
「そうね。それに亞愛ちゃん、まだなにか隠しているようだったし」
「それは姉さんの勘か?」
「ええ、勘よ」
確かに、亞愛からは終始余裕が窺えた。まだ隠し玉を持っていたのかもしれないな。頼もしい奴だ。
† † †
「本日はお越し頂きありがとうございます、レイモンド様」
漆黒のロングコートを羽織った男性の元に向かい頭を下げる。今年で三十になるレイモンド様はオールバックの髪に無精髭を生やした精悍な顔つきをされている。
「おお、千夜くんか。久しぶりだね。また一段と腕を上げたな」
「背も伸びたわね。うん、格好良くなった」
その妻のアリシア様は胸元に大胆なV字カットを入れた赤色のドレス姿だ。このお二人は出会った当初から何かと目にかけて頂いている。
レイモンド夫妻の和やかな言葉に笑みを深める。
「そうですか? ありがとうございます。お二人もおかわりな
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