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失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
原作開始前
第一話「中国からの来訪者」
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)と呼べるものにまで成長した。というか、本当に俺は人間なのだろうか?


 勿論、生物学的には人間に分類されるため、俺の身体の構造は従来の人間と同じものだ。しかし、人間という種族は魔力を持たないはずなのになぜか魔力を内包している俺は、無意識のうちに身体強化の魔術や治癒力を高める魔術などを常時展開しているらしい。それでも尽きない俺の魔力ってドンだけという話だ……。


 正直、身に覚えのない――というより得体の知れない魔術を無意識のうちに行使している自分を嫌悪したこともあったが、今では素直に受け入れられている。これも萌香たち『家族』のおかげだな。彼女たちがいなければ俺の心は砕け散っているだろう。


 まあそんな訳で、魔術のアシストを常時受けている俺は力の大妖であるバンパイアと同等の膂力と回復力を持つ。これで赤目だと完全にバンパイアだな。


 さらにはなぜか身体に染みついている格闘術も合わさり、いつの間にか朱染家のナンバー二の実力者などと謳われてしまった。ちなみにナンバー一はお袋である。母は強し、というやつか?


「とりあえず、萌香たちの元に行くか」


 エントランスホールに向かうとそこには刈愛、萌香、心愛の他に黒髪の女の子がいた。黒い制服のような服を身に纏った少女の傍らにはキャリーケースが置いてある。恐らくこの子が亞愛だろう。


 俺の姿に一早く気がつく萌香。


「兄さん」


「もう彼女とは会ったようだな。お互い自己紹介は済んだか?」


「うん! あと自己紹介してないのはお兄さまだけだよ!」


「はは、これは一本取られたな」


 心愛の言葉に苦笑した俺は亞愛と向かい合う。


「はじめまして。俺の名は朱染千夜という。よろしく」


 亜愛は方膝をつき包拳礼を取る。


「初次対面(はじめまして)。亜愛です。よろしくお願いします、千夜兄様」


「ん、よろしく。そんなに畏まらなくていい。気軽に接してくれ」


「そう? なら遠慮なく。――ところで千夜兄様ってあの『殲滅鬼』なのよね?」


「自分から名乗ったことはないがな。不本意ながらそう呼ばれているよ」


 殲滅鬼というのは俺の異名の一つだ。家の『仕事』や侵入者を迎撃していたら、いつの間にかそんな異名が出来てしまった。由来は敵対した者は必ず全滅することから来ているらしい。少なくとも降参した者や敵意がない者には手を上げないんだが。


 ちなみに、その他にも『黒衣の死神』、『規格外の人間』(イレギュラー)、『暗殺者』(アサシン)とも呼ばれていたりする。


「すごいわねぇ、人間の身でそこまで上り詰めるなんて……。今度、手合せしてもらえる?」


「それはこちらと
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