第一部
閑話
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甘粕冬馬は、困惑していた。
「・・・どうして私がこんな場所にいるんでしょうねぇ・・・・・・。」
【SaintSatan号】。今現在、世界で最も危険で、しかしある意味ではここより安全な場所は存在しないとも言える船である。世界中から【魔界】と呼ばれる国日本。その国に属するカンピオーネ4人が乗り、裏の世界の住人で知らぬものは居ない程の有名人である、『プリンセス・アリス』までもが乗っている。今現在、この船よりも戦力が揃っている場所など、世界中探しても存在しないだろう。
そんな船に、何故か甘粕は乗船していた。これは別に、彼が無断で乗り込んだとかそういう訳ではない。彼は招待されたのだ。・・・もっとも、招待とは名ばかりで、実質的には強制だったのだが。
「誰も助けてくれませんでしたしねぇ・・・。」
鈴蘭から、『いくら忙しくても来てね♪』と書かれた招待状(?)が送られてきた時は、流石に焦った。因みに、上司である沙耶宮馨にも招待状が届いていたのだが・・・
『残念ですが、僕のことを待っててくれる女性が沢山いまして。僕は全員を幸せにしてあげたいのです。デートの約束もしていますし、その先も・・・ね?』
『あ〜、じゃぁ仕方がないね!馨ちゃんモテるもんね!女の子を泣かせちゃ駄目だよ〜?』
『僕も女の子、なんですけどねぇ・・・』
たったこれだけの会話で終了してしまった。
「美形っていうのは・・・本当に得ですねぇ・・・。」
ボソっと呟く甘粕。
まぁ、彼も分かってはいる。馨が、ただ美形なだけではあそこまでモテないだろうと。あの容姿と、ミステリアスな性格と雰囲気、そして、正史編纂委員会の長になることがほぼ決定しているほどの才覚。それらが全て合わさってこうなっていることを。そもそも、彼女は最初は自分の性別を告げないで付き合うが、ある程度仲良くなった頃に自分が女性だと言うことをちゃんと伝えている。それでもいいという女性たちが多くいることこそ、彼女の持つカリスマ性の象徴ともいえるだろう。
「一度は、モテてみたいものですねぇ・・・。」
それでも呟かずにいられないのが、男性の持つ悲しい性なのだろう。
「・・・しかし、毎度毎度カンピオーネの皆さんのやることは、スケールが違いますなぁ・・・。」
自室を見回し、呆れたように言う甘粕。だが、それも仕方がないと言えるだろう。
彼がいる部屋は、一流ホテルのスイートルームにすら劣らない客室であった。数々の有名な調度品。窓から見える大海原の景色。ルームサービスは流石に有料だが、テーブルの上には『世界樹の葉で作った日本茶。飲めば死人も生き返る・・・かも?』などと、本気なのか冗談なのか良くわからないぶレートが
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