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失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
原作開始前
プロローグ「俺の名前は朱染千夜」
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「本当に、俺が家族になってもいいんですか……?」


「ええ、大歓迎よ!」


 さらにギューっと力を込めるアカーシャ。その豊満な胸に顔面を圧迫されながら、千夜は決意した。


「――わかりました。今日から朱染千夜と名乗ります」


「そうか。これからよろしく頼むよ」


「はい、こちらこそよろしくお願いします」


 微笑む一茶にアカーシャの腕の中から抜け出した千夜は頭を下げた。





     †     †     †





 朱染の名を貰ってからさらに一カ月が経過した。


 あれから家族間の関係は良好であり、実の両親の顔を知らない千夜も一茶とアカーシャを両親として受け入れた。萌香と心愛のじゃれ合いを刈愛とともに制したり、朱染の命を狙う刺客たちを撃退したりと、それなりに波乱万丈な生活を送っている。


 ――これからも変わらぬ日常が送られますように。と月を見上げながら祈っていると、背後からヒトの気配がした。


「千夜兄様〜!」


「うおっと、刈愛か……」


 いつもの輝かしい笑顔を肩口から覗かせた刈愛は千夜に覆いかぶさるようにして背中に伸し掛かった。


「なにしてるの?」


「いやな。月が綺麗だったものだから眺めてたんだよ」


「あら、本当だ。真ん丸お月様で綺麗ね〜」


 月に向かって手を伸ばす刈愛。その姿を暖かい気持ちで見守っていると、隣からむくれた声が聞こえてきた。




「刈愛姉さん! 千夜兄さんから離れろー!」


「ちょっと萌香ちゃん、何するのよ〜」


 刈愛との間に割って入ると千夜の背中におぶさり、シャー! と牙をむいて威嚇する。刈愛は困ったように頬に手を当てていた。


「もう、萌香ちゃんは兄様にべったりねぇ」


「なっ、そそそんなことはない! 新しく出来た家族だからな、私が気を遣ってあげているんだ!」


「そうかしら? その割にはもう甘々のようだけど」


「ね、姉さんの目は節穴のようだな。私のどこが甘々なんだ」


「そうやってべったり引っ付くところかしら。何かにつけて兄様と一緒にいたがるじゃない」


 ぐうの音も出ない萌香にクスクスと笑う刈愛は千夜たち二人を抱きしめた。


「まあいいけどね。私は皆が大好きだから」


「……姉さんには敵わないな」


 大人しく受け入れる萌香。ここまでなら美しい姉妹愛なのだが、どう反応すればいいか分からない千夜は一人固まっていた。


「あー! お姉さまたち何やってるのよー!」


 ここに来て心愛も乱入し、場は騒然と化してきた。一人だけこっそりと抜け出した千
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