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失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
原作開始前
プロローグ「俺の名前は朱染千夜」
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厨房で紅茶の支度をしていた千夜の後ろから幼い声が聞こえてきた。
「心愛か。どうした?」
振り向くと赤髪を両サイドで二つに分けた女の子が可愛らしく頬を膨らませていた。
彼女の名前は朱染心愛。萌香の妹であり、千夜にとっても妹分でもある。彼女も千夜を兄と慕っており、両者の関係は今のところ上々だ。ちなみになぜ使用人なのに敬語ではないかというと、アカーシャを始めとした朱染一家に敬語は止めるようにと言われたためだ。どうやら違和感が付き纏うらしい、
心愛はなぜか手にしたハルバードの柄でドン、と床を叩く。
「どうしたじゃないわよ! あたしの特訓に付き合ってくれるって約束したのに全然来ないと思ったら!」
「うん? そんな約束した覚えないぞ」
「嘘よ! だって今朝約束したじゃない。お姉さまを倒せるようになるまで付きっきりで見てくれるって!」
「……ちなみにその約束はどこでしたんだ」
「あたしの部屋だけど?」
それを聞いた千夜は深い溜め息をついた。ムッと頬を膨らませる心愛。
「ちょっと、今の溜め息はなによ」
「俺、今朝は新作を作るために厨房に直行したから、心愛の部屋には行っていないぞ」
「へ?」
キョトンと目を開く妹分を前に、再び溜め息をついた。
「夢とごっちゃになっていないか? 第一、俺がそんな台詞を口にするはずがないだろう」
「え、え? 夢?」
千夜は萌香に対してかなりの恩義を感じている。千夜を救ってくれた命の恩人であり、なにかと世話を焼いてくれたため、萌香に対してかなり過保護なところがこの二カ月で見られるようになった。また、五つも年下なため心愛同様に妹としての家族愛も芽生え、さらに拍車をかけている。本人は家族というモノを知らないため、それが家族愛だと気が付いていないが。
さらには使用人という立場だがその振る舞いはもう専属執事であり、萌香の食事はすべて千夜が担当し、外出の際も身辺警護と称して付いていく徹底した姿勢を見せている。
そんな千夜が萌香を害する行動を取るはずが無かった。しかし、姉を慕っているのに素直になれず突っかかってしまう妹分の気持ちも察しているため、無下に扱うことも出来ない。
なんだかんだと、妹には甘い千夜であった。
「……はぁ、仕方がないな。この後夕食の支度があるからあまり時間取れないぞ?」
「――! うん!」
輝かしい笑顔だな、と苦笑した千夜はハンカチで手を拭き、厨房を後にした。
向かった先は館の外にある開けた空間だ。取り囲むように色取り取りな花が周囲に咲き誇っている。
「これは花
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