第25話 ランテマリオ星域会戦
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元帥――それでも数々の戦いを経験しているので並の将帥以上の能力はある――が超一流の将帥たちを前にして自ら作戦を立案することは皆無なのだが、今回は正面兵力だけでも敵の3倍以上。
予備兵力30000と別動隊55000を合わせれば、その数は同盟軍の5倍近くにまでなる。
これだけの差があれば下手な小細工は逆に自分達の首を絞めることにしかならず、兵力差を活かした力押しをベースにしつつ作戦を練るのが最も効果的といえるだろう。
提督たちが特に何も言わずに作戦を了承したのも、そこらへんが大きい。
「敵艦隊まで5.2光秒」
「思ったより胴体部の布陣が厚いですな」
帝国軍の中央部はかなりの厚みがある。
もちろん、それはチキンなハプスブルク元帥が自身の戦死を恐れて胴体部を厚くしたためであった。
「中央突破が不可能とは思いませんが、突破できても損害はかなりのものになるでしょう。それに、突破に少しでも手間取ると予備兵力で補強される上、時間が掛かり過ぎると左右両翼に包囲される危険が大きくなります」
「ワシもそれを考えておったところじゃ。むしろ敵に先制させ、引きつけながらその攻撃を受け流しておいて左右両翼のいずれかに回り込む方が各個撃破しやすいかもしれん。じゃが……さすがにあの数、あの長さじゃ。それも成功の可能性は薄いの」
「味方が砲撃を開始しました」
「何!?」
「まだ命令は下っていないぞ!」
「閣下」
「混成艦隊の弱みが出たか……止むを得ん、当初予定通りこのまま中央突破を図る。全艦攻撃開始!」
ランテマリオ星域の会戦が、開始された。
同盟軍は中央突破を図るべく帝国軍中央に攻勢を掛けるが、帝国軍中央の艦艇数はハプスブルク艦隊とその両隣に限っても約5万隻。
同盟軍の全軍とほぼ互角の数であり、突破は容易ではない。
また、帝国軍中央も守りに徹したため、結果として同盟軍の中央突破は失敗に終わった。
仮にではあるが、この同盟軍艦隊にウランフやビッテンフェルト、グエン・バン・ヒューのような猛将がいれば突破も叶ったかもしれない。
だが、それは言っても詮無きことである。
「左右両翼から敵の他の艦隊が接近してきます!」
「閣下!」
「遂に双頭の蛇が動きました。二つの鎌首をもたげて」
「敵の最右翼は『疾風ウォルフ』の異名を持つウォルフガング・ミッターマイヤー提督じゃな。なればこそ、双頭の蛇がこちらに噛み付くのにタイムラグが出るじゃろう」
「なるほど、彼の並はずれた能力故の乱れを突く……というわけですな」
「うむ。全艦、先ずは左より迫りくる艦隊に集中砲火! しかる後に右の艦隊を叩く」
「はっ」
多数のビームとミサイルがミッターマイヤー
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