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ヴァレンタインから一週間
第3話  人魚姫のルーン
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ど、面と向かっての感謝の言葉は恥ずかしい物ですから。日本人的な感覚から言えば、何を水臭い事を言っている、と言う事になる。

「貴方の出血の原因は不明。しかし、左目周辺の毛細血管からの出血で有る事は確実」

 滔々と語る長門。表情は変わらず。
 彼女の発して居る感情は……。微妙ですか。

「それで、何らかの治癒魔法を施してくれた相手に、感謝の言葉を伝えるのは不思議な事ではないと俺は思っているから」

 俺の言葉に、少しの微妙な間の後、コクリとひとつ首肯く長門。
 相変わらずの無表情なのですが、彼女から発せられる気は、表情通り無関心とは少し違う雰囲気の気を発して居た。

 いや。これまでの経過から考えると、彼女との契約は、これまで俺が式神達と交わして来た契約とはまったく違う雰囲気が有りますね。少なくとも、俺は、式神契約を交わした際に血涙を流した経験は有りませんから。
 おっと、それならば……。

「すまん。自分の事だけで手一杯やったけど、俺に何か起きた以上、長門さんにも何かが起きている可能性も有ったんやな」

 少し、遅れた感は有りますが、そう聞いてみる俺。但し、これではまるで、ついでに聞いたような感じが否めないので、矢張り、少し配慮に欠けていた可能性が有りましたか。
 そんな事を考えていた俺に対して、しかし、首をふるふると横に振る長門有希。
 そうして、

「この程度の痛みならば、神経をカットすれば問題ない」

 本当に何でもない事のような雰囲気、及び表情でそう答える長門。
 そして、それから俺の方に、左手を甲の方を上にして差し出して来る。

 彼女に相応しい白く華奢な雰囲気の、その小さな左手の甲には、その場に相応しくない、ナイフか何かで刻んだような傷痕に等しい何かが浮かび上がっている。
 見た事は有る、その文字に似た傷痕は……。

「これは、ルーン文字。それとも、オガム文字なのか……」

 そう、独り言のように俺は呟いた。

 そもそも、俺の知識では北欧神話のルーン文字も、ケルト神話のオガム文字も読む事は出来ません。
 まして、双方とも、木や石、金属などに刻む事で使用された文字で有り、表音文字で有りながら表意文字でも有ると言う複雑な文字でも有り、更に双方ともに、失われた文字が存在する事によって、すべてを読む事は難しかった文字だったと記憶しています。

「これは、おそらくルーン文字」

 俺の独り言に等しい言葉に、律儀に答えを返してくれる長門。……って言うか、彼女は、ルーン文字とオガム文字の違いが判ると言う事ですか。
 いや、違いが判ると言う事は、読める可能性も有ると言う事なのでしょうね。

「それで、どう言う内容が刻まれているのか判るのか」

 俺の左目から血涙が流れ、長門
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