第4章 聖痕
第44話 水の精霊
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黒い仔山羊たちの間を、何故か、其処だけは現実感を伴って維持されているアスファルトにて舗装されし道路を、何処かに向けて歩む水の精霊と、彼女に付き従う俺。
ただ、何故か俺の右側を歩む彼女の姿に、不思議な安らぎと奇妙な既視感を覚え、そして同時に、彼女が、傍に居ても違和感を覚える事のない自分への疑問を感じる。
そう。元来、俺は神経質な性質で、他人に、ある一定以上の距離まで近付かれると、かなりのストレスを感じるはずなのです。それが例え、どんな美人で有ったとしても。しかし、何故か彼女は、そんなものをあっさりと乗り越えて、ごく自然な形で俺の右側に立っています。
これは、彼女が人非ざる者だから、なのか、それとも、彼女の容姿が俺に警戒感を抱かせない容姿。つまり、タバサに似ているから、なのかは判らないのですが。
僅かばかりの光と、黒い仔山羊たちの発する人ならざる狂気に包まれし世界を歩み続ける俺と水の精霊。そんな、非日常に支配されし空間に、何故か既視感を覚える。
俺は……。
そんな、何かを掴めそうで、掴めない。辿り着けそうで、しかし、辿り着けないもどかしさを感じ始めていた刹那。
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