第4章 聖痕
第44話 水の精霊
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有るとは思います。しかし、聞くべき質問でしょう。この質問は。そう考え、水の精霊らしき少女に問い掛ける俺。
それで、一応、一番可能性が高いのは、……和漢の書物を紐解く事が出来るタバサならば、ある程度の現代社会に対する知識は持っています。それ以外で、現代社会に対する知識を持っているのは、俺の知って居る範囲内では才人のみ。
しかし、水の精霊らしき少女が、彼女と表現した以上、相手は女性。
ならば、助けて欲しい相手は、タバサだと言うのでしょうか。
しかし、水の精霊らしき少女は、ゆっくりと二度首を横に振った。そして、
「わたしは、今の彼女の事は知らない」
……と、答えました。但し、少し妙な説明方法で有ったのですが。
今の言葉を判断するのなら、彼女は、その友人の子供の時を知って居る、と言う可能性が一番高いのですが……。
但し、その場合ならば……。
「その友人の名前すらも判らない、と言う事なのか?」
俺の問いに対して、コクリとひとつ首肯く水の精霊らしき少女。
しかし、これは明らかにおかしい。普通、幼い頃の友人とは言え、相手の名前すら判らないと言うのは異常でしょう。少なくとも、通称や仇名ぐらいならば覚えているモノです。
まして、彼女は、その友人と言う人物が、俺の事を傷付ける事はない、と言い切りました。
これは……。
「俺と、オマエさんが友人と呼んだその相手とは、某かの縁が有ると言う事やな」
この問いにも、彼女はあっさりと首肯く。これは当然、肯定。
但し、この程度の答えなら問題は有りません。問題は……。
「そして、その縁と言うのは、今生で結んだ縁と言う訳ではない、と言う事か?」
もっとも重要な質問に対しても、紫の髪の毛を持つ少女は、コクリと簡単に首肯いて答えた。これも、肯定。
そして、今生。つまり、今の生命で結んだ縁ではないと言う事は……。前世で結んだ縁と言う事か。
輪廻転生。俺達、仙族の出身の人間に取っては当たり前の事実でしかない事ですが、現実に前世で縁を結んだ相手との邂逅など経験した事などないので……。
いや。可能性としてならば、タバサとの間には、何らかの縁が有ったとしても不思議では有りませんでしたか。
それでなければ、異世界からの召喚など難しいでしょうから。
但し、もしそうだとするのなら、この段階では、その『彼女』と呼ばれる相手の正体を知る術はないと言う事ですか。
まして、水の精霊らしき少女が知って居る時の姿形が女性で有ったと言うだけで、今の、その相手が女性で有ると言う保障もなければ、人間で有る保障もないと言う事。
……出来る事なら、今生の姿が男性でない事を祈るばかりなのですが。
無に支配される空間に退きし
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