第4章 聖痕
第44話 水の精霊
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行って、このハルケギニア世界を訪れた存在が居たとしても不思議では有りませんから。
そう考えながら、水の精霊らしき少女が渡してくれた呪符の確認を行う俺。
彼女の渡してくれた呪符の内訳は……五行符に光と闇に属する呪符をプラスしての七種類。陰陽五行に属する呪符で有る以上、これ以上は必要有りませんか。
但し、ここは夢の世界で有る以上、夢から覚めた後は、自らの手で呪符を作る必要が有るのですが。
特に、陰陽に属する呪符の作り方は知りませんでしたから。
俺をじっと見つめていた水の精霊が、在らぬ方向に視線を移してから、そちらに向けて歩み始める。俺に着いて来いとも、そのままここに留まれとも、何も伝えずに。
そして、俺自身は、彼女の向かおうとするその方向からは、何故か不吉な雰囲気を感じていたのですが……。
☆★☆★☆
夜の闇……。いや、厳密に言うと夜とは違う暗い空。その深い闇に押し潰されそうな気さえして来る中を、何処かに向けて歩む俺と、水の精霊。
しかし、其処かしこから何かの破壊音が聞こえ、ここが危険な世界で有る事は感じられる。
感覚として近いのは、あの紅き夕陽に沈みつつ有った世界を呑み込み、虚無へと変換させていたショゴスに似た存在……。
そして、更に、あの時と同じ腐臭が辺りを支配していた事が、俺を妙に不安にさせていたのですが。
水の精霊に招かれた地点から数えて、ふたつ目の四つ角を右に曲がった刹那、視界が黒き森に遮られた。
そう。どう考えても地球世界に存在する都会的な佇まいの街の雰囲気にそぐわない巨大な森。
そう考えて、改めて、その森を見つめた俺。そして感じる違和感。
そう。これは違う。厳密に言うと、この俺の目の前に現れたモノは森ではない。確かに、見た目から言うと森には間違いない。ただ、その森を形成するたった一種の樹木自体が……。
「ロープの如く、蛇の如くいやらしくうねる大小無数の触手。ぬらぬらとした粘液に覆われた太い胴体。その表面に走る皺とも、そして口とも見える裂け目。更に、その醜き胴体を支える三本の太い足の先は、何処となく馬か山羊に似た形をしている」
俺は、こみあげて来る嫌悪感とも、吐き気とも付かない嫌な感覚を無理矢理に抑え込みながら、そう呟く。
但し、こいつらがこれだけ大量に湧いていると言う事は、この夢の世界はあの邪神が強く信奉されている場所と言う事だと思うのですが……。
伝承によれば、彼らは、その母親が礼拝される地域にのみ顕われる生命体で有り、母親の代理人として行動し、彼女への生け贄を受け取り、信者たちに礼拝される事を引き受け、……そして、信者でない者を喰う事で、母親の福音を世界に広めているらしいですから。
俺は、生
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