第4章 聖痕
第44話 水の精霊
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彼女の言葉に素直に従い、片膝を立て跪く俺。
そんな俺の方向に更に一歩近づき、俺を見下ろす形を取る水の精霊。
……この形は、俺を騎士にでも任じると言う事なのでしょうか。
そう、俺がクダラナイ事を考えた次の瞬間。
「瞳を閉じて」
そう、呟くような声で、俺に伝えて来る水の精霊らしき少女。
良く判らないのですが、彼女は余計ないたずらのようなマネをするタイプの存在とは思えないので……。
素直に、彼女の言う通り、両の瞳を閉じる俺。
瞳を閉じた数瞬の後、両の頬に宛がわれる冷たい……手。
そして、
近付いて来る何か。いや、明らかに水の精霊がその顔を近づけて来ているのは間違いない。
鼻腔を擽る甘い肌の香り。
そう言えば、タバサと契約を交わした時もこのパターンでくちづけを交わしたのでした。
そう思った瞬間、彼女を額に感じる。
「成るほど」
一気に流れ込んで来る膨大な知識に圧倒されながらも、そう、一言だけ口にする俺。
但し、それが精一杯。これ以上、無駄口を利く余裕はない。
さして許容量の多いとは思えない俺の頭に直接、インストールされる古の知識。
一気に流れ込んでいた情報が途絶え、少しの余韻と共に彼女が離れる。尚、その際に、何故だか少し離れ難いような気がしたのですが……。
ゆっくりと開いた俺の瞳の中心に、タバサに良く似た少女姿の精霊が映るのみ。
その頭の先から足の先まで、ゆっくりと瞳と記憶に問い掛けるように彼女を二周分見つめてみる俺。
そして、少しため息にも似た仕草で息を吐き出した。
……やれやれ。もしかすると、俺は、自分でも気付かない内にメガネ属性と、ついでに少し残念な体型の女性が好みと成って仕舞ったのでしょうか。
確かに、大きければ大きいほど良い、と言う性癖は無かったのですが……。
「今、俺に教えてくれたのは、どう考えても符術やな」
それでも、俺にメガネ属性が有ろうが、実は少しマニアックな体型が好きで有ろうが、その辺りについては、今のトコロあまり関係は有りません。
まして、今、彼女が伝えて来たのは間違いなく東洋風の符術。西洋風剣と魔法のファンタジー世界にそぐわない漢字に因り作り上げられた呪符で発動させる符術でした。
多少の違和感が有って当然ですし、それに対する質問の方が重要でしょう。
俺の問い掛けに、コクリとひとつ首肯く水の精霊。
そして、その答えに続いて、かなりの枚数の呪符を手渡してくれた。
成るほど。矢張り、この世界には、何処かの段階で東洋風の魔法を使用する人物が顕われた事が有ると考えるべきでしょう。
そもそも、俺や才人がやって来たのです。それならば、俺たち以前にも同じように次元移動を
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