第4章 聖痕
第44話 水の精霊
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モンモランシーの言葉に甘えて、今晩は彼女の実家に宿を借りる事となった、俺とタバサ。
それで夕食に関しては、このハルケギニア世界の基本的な食材を使用した物だった筈なのですが、何故か、俺の舌は物足りなさを感じる事は有りませんでした。
もっとも、これは想定内の事象に過ぎないのですが。
何故ならば、モンモランシーの継いで来ている魔法の系譜が、ウィッチ・クラフトでしたからね。
彼女の扱うウィッチ・クラフトが、地球世界の魔法……ウィッチ・クラフトと呼ばれる魔法と同じ種類の魔法だと仮定するのならば、その内容には家事一般も含まれます。
元々その魔法の始まりは白魔術。確か、薬草の知識などから始まった物のはずですからね。
そのウィッチ・クラフトを継承するモンモランシーの実家ならば、食事の味付けなどは、他のトリステインの貴族とは違って居ても当然でしょう。
更に、本来はガリアに有るモンモランシ家が本家筋に当たるらしく、ジル・ド・レイとは従兄弟同士で、既に婚約者の関係でも有るらしいです。
尚。ジルはガリア王国ブルターニュ地方のナントと言う街を支配する男爵。但し、ガリアのモンモランシー家が支配しているのは其処だけではなく、ラヴァルや、その他、いくつかの街を支配し、それに応じた爵位も持っているらしいです。
その中で、カジノ事件の際に手助けしてくれたジル・ド・モンモランシ=ラヴァルは、今のトコロ、ナントの街を支配する爵位を継承している、と言う事ですか。
そもそも、彼の曾祖父の代には、ガリア王国の大元帥を拝命したらしいですから。
まして、そのブルターニュ地方と言う地名も、ケルトの人達が、ブリテン島より移住して来て付けた呼び名です。そして、モンモランシーが操る魔法も、ケルトの民が操った魔法で有る以上、ここに何らかの関連性が有る可能性も少なくはないでしょう。
……などと、現状ではあまり関係ない事を、モンモランシーの実家の客間の天蓋付きのベッドの天井を見上げながらウダウダと考え続ける俺。
慣れていない枕と、柔らか過ぎるベッドの感触。そして、少し圧迫感の有るベッドに施された天井。
そのような非日常の中で、唯一の日常。俺の隣のベッドで和漢の書物を紐解き、黙々と読み耽る蒼き姫の姿が、とても落ち着いた気分を俺にもたらせていました。
もっとも、このモンモランシ邸の客室内には、俺とタバサの他に、護衛用のサラマンダーとハゲンチを現界させていましたが。
そんな俺の視線を感じたのか、それとも、切りの良い個所まで読み進めたのか。タバサが、読んでいた本に栞を挟み、俺の顔を真っ直ぐに見つめた。
少なくとも、これで彼女の方には就寝の準備が出来上がったと言う事です。
「サラマンダー。室内の明かりを落としてくれる
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