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茨の王冠を抱く偽りの王
08.ざわめく羽虫
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.を.....みする」

なんって言ってんだ?聞き取れない?

「ヴォ.....とは....だ。....の形だ。他に代わ...の...い、たったひ.......存在。所有者...身なんだよ」

これも何て言ってんのかわかんない?

「.....お......ま」

誰かの声がする。
でも、羽虫どもがうるさくて聞こえない。

「.....お....さま...」

聞き覚えのある声。

「王様!!!」

俺はハッと目覚めた。

「......シオン....か?」

俺の隣にシオンがいる。
その顔は、目が赤く泣いたあとのようだ。

「王様!!」

シオンは俺に抱きついてくる。

「どうしたんだよ、シオン!」

「よかった、王様がもう目覚めないと思った......カイがまたどっか行っちゃうと思った.....」

シオンが泣きながら、強く抱きしめながら、言う。

「大丈夫だよ、シオン。俺はどこにもいかない絶対に」

絶対だよ、っとシオンは笑顔で微笑んだあと、再び俺に抱きしめた。
俺もシオンを抱きしめた。

そのまま、長い時間俺たちは抱き合ったまま。




次の日に俺たちは大島をあとにした。
作戦は失敗......"始まりの石"は誰かに奪われてしまったようだ。

帰りの船でシオンは昨日泣きつかれたのか俺の肩にもたれかかって寝ている。
頬を突っついてみると少し動くが起きる気配がない。


俺は不意にあのことを思い出す。

「ーー.....どの.....壊...所...者の....を.....みする」

あれはいったいなんて言ってたんだ。
どうにもあの言葉が引っかかる。


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