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ソードアート・オンライン 穹色の風
アインクラッド 前編
亀裂は不安を呼んで
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「まあいいさ。それじゃ、俺たちは会議に出てくるから」
「オイラも後から行くつもりダ。……まあ、頑張って来イ」
「ああ」

 マサキはアルゴに手をひらひらと振りながら歩き出し、町の中央へ足先を向けながら、完全に空気と化していたトウマに目をやった。

「お前、いつものキャラはどこに行ったんだ?」
「いや、俺あいつのこと苦手で……」

 何となく歯切れが悪いトウマの返答に「ふうん」と見かけ上納得して、マサキは再び前を向いた。


「はーい! それじゃ、五分遅れだけどそろそろ始めさせてもらいます!」

 《トールバーナ》噴水広場に爽やかな声が響き渡り、途端にその場が静まり返る。二人が中央に目を向けると、声と違わぬ爽やかな青の長髪とシャープな顎のラインを持った一人のプレイヤーが噴水の縁に飛び乗った。
 マサキたちは噴水を囲む段の上から二つ目に座り、二言目を待つ。青髪の片手剣使いは周囲がすっかり静まったのを確認すると、再び軽やかに言った。

「今日は、俺の呼びかけに集まってくれてありがとう! 知ってる人もいると思うけど、改めて自己紹介しとくな! 俺は《ディアベル》、職業は気持ち的に《ナイト》やってます!」

 その一言で噴水近くの一団がどっと沸き、いくつか声も上がったが、マサキの心中は彼らとは正反対だった。
 ――馬鹿馬鹿しい。
 それが、マサキが持った彼への第一印象だった。マサキはこれまでホワイトハッカーとして多くの依頼を受けてきたし、会議にも出席してきた。また、その中には他のホワイトハッカー達と協力したり、高度に連携しなければいけないものもあった。だが、その会議と今の会議の状況は、まるっきり正反対と言ってよく、淡々と伝達事項が伝えられるだけのものであり、そしてマサキはその方式を気に入っていた。
 協力というのは、突き詰めて言えば自分の役割を100%果たすことであり、味方のフォローやリカバリーといったことも、結局は自分の役割だからだ。そして、そのフォローのレベルを決定するのは自身の判断力であり、相手に対する好感度などでは、決してない。それどころか、仲間意識だけが無駄に高い連中で協力した場合、自分の一番重要な目的すら忘れて味方の救援に向かうことも考えられる。そうなってしまえば、その連中に待つのは敗北だけだ。

 以上の理由から、マサキは今行われているような会議は嫌いだったのだが、それを指摘することはなかった。今ここでそれを指摘すれば、ここにいる全員の士気が下がることは火を見るよりも明らかだったからだ。そして、それではこの方式の唯一とも言っていいメリットを自ら手放すことになる。周りのプレイヤーが冷ややかならば一考の余地はあったかもしれないが、彼らが一同ディアベルに向かって拍手喝采を送っているところを見ると、彼のリーダー
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