A's編
第二十八話
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のはいささかハードルが高いような気がするのだ。
しかし、僕が気まずそうな、嫌そうな顔をしたのがはやてちゃんには気に入らなかったのだろうか。不意に顔を伏せると弱弱しいような声で言う。
「私、こんなんやから、お風呂入るの手伝ってほしいんやけどなぁ。ショウくんがか弱い女の子を助けてくれん薄情もんやったとは……」
―――嘘だ。
はやてちゃんが、嘘を言っていることは直感的に理解した。暗い表情をしているが、僕の様子を窺うようにちらっ、ちらっと僕を見ているのがその証拠だ。
しかしながら、嘘であっても乗らなければならない時がある。それが今だ。少なくとも、彼女が独りで入れないということはないだろう。
今までは、もうすぐ帰ってくるという家族の人が一緒に入っていたとしても、この家の作りからしてお風呂だって身体障がい者用にバリアフリーになっていることは容易に想像できる。つまり、確かに大変かもしれないが、ひとりで入れるか、入れないか、という議論をすれば、入れるという答えが導き出されるはずだ。
しかしながら、彼女が体を張って同情を引こうというのであれば、僕は断れない。確かに大変なのは事実だろうから。それを手伝ってくれ、と言われれば、拒否はできない。もしも、彼女が中学生や高校生ぐらいであれば、全力で拒否した―――そもそも言ってこないだろう―――だろうが。
「はぁ、わかったよ。僕が手伝うよ」
「やたっ! さすが、ショウくんやっ!」
僕が降参というように両手を挙げて、あきらめたようにため息を吐くと、はやてちゃんは先ほどまでの暗い表情が嘘のように笑顔を僕に見せて、たいそう喜ぶのだった。
◇ ◇ ◇
どうしてこうなったのだろうか? と僕は、はやてちゃんの少し大きめのベットに身を沈めながら考える。
当然、隣には、この部屋の主であり、このベットの持ち主であるはやてちゃんが眠っている。彼女は、僕の心情など知らずに、すー、すーと寝息を立てている。先ほどまでは、秘密のお喋りのように話していたのだが、いい加減に限界に来たらしい。
僕が手伝いながら―――まさか、裸のまま抱き上げる羽目になろうとは思わなかった。いや、確かに介護かもしれないが―――お風呂に入った後、そろそろ、寝ようという話になり、僕は、ソファーでもいいから横になるつもりだったのだが、やはりお風呂と同じ方法ではやてちゃんのベットで一緒に寝る羽目になってしまった。いい加減、僕も断ればいいのだが、彼女のすがるような、寂しがっているような視線が忘れられない。だから、嘘だと、虚構だとわかっておきながら、彼女の掌の上で踊るしかないのだ。
今日何度も見せた寂しがり屋のはやてちゃんは、それが嘘のように安眠している。一方の僕は、
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