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SAO─戦士達の物語
GGO編
百八話 刃の影
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「成程……って……」
キリトがふむんと鼻を鳴らし、少し顔をしかめて入口を見た。それを見て、何かを察したようにシノンが話す。

「ここなら、多分大丈夫。地面が砂だから、透明になっても足音は聞こえるし足跡も消せない。さっきみたいに、行き成り近くに……って言うのは無理」
「成程……じゃあ……」
キリトが二ヤッと笑ってリョウを見る。対しリョウも、二ヤリと笑って返した。

「任せとけ。ばっちり耳澄ましといてやるよ」
そう言ってリョウはシノンの正面に座り込むと、懐から初期配布の救急キッドを取り出して首筋に当てるとぶしゅッと音を立ててそれを使う。キリトもそれに倣った。一瞬だけ回復(ヒール)エフェクトの赤色が体を包むと、二人のHPが徐々に回復していく。一本でHP30%回復のアイテムなのだが、180秒もかけて回復するアイテムなので戦闘中に使っても殆ど効果が無い。
リョウは先程P90の銃撃を喰らった際に運転席故にしっかりと体勢を低く出来なかったせいか、後部座席の窓から飛び込んだ数発を背中に受けていたし、ガンシートに居たキリトもどうやらHPの六割近くを削られているようだった。

「ふぅ……アイリ、今何時?」
「えっと……九時十五分」
「五回目か……」
アイリの答えに、問うたリョウがもう一度息を付く。不意に、シノンが聞いた。

「ねぇ……死銃が、さっきの爆発で死んだって可能性は……?」
「いや。爆発の直前で馬から降りるのが見えたからな……あれだけの爆発だし、かなりのダメージは受けただろうけど、死んだとは期待しない方が良いと思う」
「そう……」
キリトが答えると、シノンは抱えた膝に顔をうずめるように俯く。

「シノン……」
アイリが心配したように片手を上げたが……しかしその肩に触れる直前で手を止め、静かにその手を降ろした。
その様子を特に表情を変えずに見ていたリョウが、キリトに声をかける。

「そういや、お前、銃士Xに仕掛けたにしちゃ随分早く戻ってこれたんだな。シノンが狙撃地点に付いてなかったっつー事は、そんなに時間経ってなかったんだろ?」
「あぁ……それは……」
キリトの話によると、銃士Xは女性だったらしい。無論、キリトやリョウのような偽F型ではなく、正真正銘の女性アバターだ。
当然、その時点で彼女は死銃では無いから、自分達が何かを見落としていることには気づく。自動的に死銃がシノンの方に行くかもしれないと分かり、堂々と名乗ろうとした銃士Xを問答無用で斬り伏せ、一発喰らいつつも彼女のライフルとスモークグレネードを拝借。
シノンの所に戻った所で、リョウとアイリが死銃と戦闘をしている所に遭遇したと言うわけだ。

その話を聞き終え、成程と笑いながらリョウが答えた後も、シノンは俯き、アイリは落ち込み気味に少し目を伏せていた。
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