変わらぬ瞳
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れます?」
最も本当に近況報告のようなもので、特に明るい話題という訳では無いのだが。しかし、穏やかな話じゃないな……
「明らかに陽動の線が強いな」
「陽動?」
「仮にだ。もし、この学園に敵対する集団がいたとしよう」
いや、いる。新学期早々の教師達が最も忙しい時期を狙って侵入してきた人物が。だが、断定は出来ない……
「そいつ等がわざわざ貴重なISのコアを一つ潰したんだ。何か無い方がおかしい」
「言い換えると、コアを失ってでもしなければ為らない用事がこの学園にあった、と言うことですの?」
断定は出来ないけどねと返す。
改めて正面を向く。
相変わらずそこは殺風景な場所だった。灰色のタイルに安全のための銀色の柵。
さて、と切り出す。
「済まなかったな、オルコット」
side セシリア
. 「……へ?」
我ながら間抜けな声を出してしまう。その……予想外だった。てっきり今までの私の態度を糾弾されるものと覚悟をしていたら、ある意味それ以上のインパクトを貰った。脳が認識し、理解するより早く彼の話は進んでいく。
「事情は話せない。だけど、僕は君を撃った。その事については言い訳出来ない」
だからごめん、と。
「怒らないのですか……?」
今までの私を。
「うん。まぁ、嫌な思いをしたことにはしたけど……君は僕の何かに怒っていたんだろ?」
ええ、勘違いでしたけど。
「ならいいさ。その怒っていた理由までは僕は否定出来ないし」
曰く、過去に自分も似たような事をしてしまったと。自分の信念とそぐわない相手を拒絶し、無視し、理解する事をしなかったと。
「もう少し、彼女と会話をすれば良かった」
そう言う彼は、非常に老いて見えた。
……正直、今の衛宮さんを見ていると、そんな事をする人に見えないから驚きだ。しかし、同時に頷ける。私を撃った際の衛宮さんは凄く怖くて、まるで命を量としか見なしていないようだった。そんな人物なら頷ける。どんな非道な事をしてもおかしくないと。
「人にはちっぽけに見えても、当人からすれば生死よりも重要な問題なんて山ほどあるんだ。それは頭ごなしに否定されるべきじゃない」
先程、鈴音さんに話を聞いて貰ったが十中八九あんたが悪いと返された。最も、後の彼の奇妙な行動には首を傾げていたが……
だが、衛宮切嗣は相手の退引きならない事情を考慮し、何とか歩み寄ろうとしている。
「……そうだとしても、謝らせて下さい」
だからこそ自分が赦せない。自身の確固たる信念を持つ人を勘違いで自分の父と同類に見なしてしまった自分を。実際のところ、私の考え方は一切変わっていない。弱い男は嫌いだし、彼の目も好きとは言い難い。ただ、彼もそこらの男性とは違うと分かっただけだ。……それが全てで、フェイタルだ。要するに、私は偏見……それも第一印象という曖
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