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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第十五話  反転した決着
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アァァァッ!!カカカカッ!!」

ヴィルヘルムは叫んでいた。シュライバーは嗤っていた。既に状況は変わりつつある。ヴィルヘルムがいかに地力を上げようともシュライバーはそれを上回る速度で回復している。十八万を超える軍隊を相手にしているヴィルヘルムは直接的な攻撃を一撃も与えれていない以上、勝ち目は薄い。

「End’in Wonne, du ewig Geschlecht!」

ジリ貧であり、奇策、隠し玉は通用しない。互いに知り尽くしている以上通じるのは限界を超えるまでの真っ向勝負のみ。本能に従って突き進むしかない。
だがシュライバーが気付いていないイレギュラーがある。それはヴィルヘルムはティベリウスの聖遺物を喰らっていることを。そして、その聖遺物が完全に彼の一部になっていることを。聖遺物を二つ持つという例外、理からして常軌を逸していたが故に行えた単純にして最高の策。純粋に足りないならば足せばいい。単純に一を二つにして二するという策。問題があるとすれば一つ。ヴィルヘルムは未だそれに気がつけていない。完全にそれを内に溶かしたものだと思っている以上、気が付かないのはある意味当然。

「テメエを殺してよォ、俺の業を打ち捨ててよォ、俺はあの人の牙になるんだァァぁッ!!」

指を足を手を腕を脚を腹を肘を脛を口を肩を喉を全身を抉られ削られ砕かれ千切られ続ける。しかし、まだ終わっていない。それだけやられようとも幾らでも奪った分で再生する。

「アアアアァァァァァ!!」

四肢を千切られながらそのときヴィルヘルムの意識は刹那を超えて思考していた。




******




勝てない。後一歩足りない。魂の総量で負けていようとも後一つ何か手があれば勝てるのに。勝つことが出来ない。武器が、アイツを斃すための武器が足りねえ。だからよォ、アイツを殺すための武器、俺の中にあるはずだ。とっとと出せよ。なあオイ、テメエの遺産をよォッ!!

『御意、我が身の聖遺物をお使いください』

虚仮の一念といってもいいだろう。その意思の強さに、いや忠義の強さによってヴィルヘルムに二つ目の聖遺物を持たせる。ティベリウスはその後、直ぐに消える。もはや残留思念といっても良かった存在なのだ。当然の結末だった。

「ガアアアアアアァァァァァッッ!!」

「グァッ!……俺は負けねェ……。俺に、勝てるのは……『あの人』だけだァァァァァァ!!」

「―――!?」

突如現れた荊棘の杭。その数はもはや数えることすら敵わない。
全方位。ヴィルヘルムのいた正面からだけでなく後ろ、下、左右、上、空間的な位置において回避は赦されない。しかし、それを当然の様にシュライバーは回避した。意味の成さない攻撃、シュライバ−を相手にして直接的な攻撃を命中させることな
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