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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第十五話  反転した決着
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見た目だけなら司狼に似通ったそれは豪く人を小馬鹿にしたような表情だった。

「ティトゥスか。分体の存在で楯突こうとはいい度胸だな」

ティトゥスとそう呼ばれた彼はヘラヘラと嗤いながら司狼を庇う位置で立っていた。『七皇帝の分体』が一人ティトゥス。六人の中でアルフレートに最も近い実力を持つがそれゆえに最もその個性は強くアルフレートにとっては彼は失敗作に等しい存在だった。
さて、そんな彼、ティトゥスは元主であろうアルフレートに対して何ら後ろめたい素振りなど見せず銃を向ける。

「知ったことじゃないよ。アンタに従う必要なんて無いと思ってるし。というかそっちの自分勝手な都合で俺たちを好き勝手するんじゃねえよ。つー訳だ、だから俺はお前じゃなくてそっちの馬鹿な奴のほうに付かせて貰うぜ」

「ハッ、やっと出てきたと思ったら出てきて直ぐに馬鹿扱いかよ」

司狼がうめきながらそう言う。ティトゥスはアルフレートが司狼に仕込んだ分体だった。本来ならティベリウスやクラウディウスのように五つ目が開いた時点ですぐに出て来るはずだったのだがティトゥスは違っていた。司狼を見極め、自分と共に戦うに相応しいかを見定めていた。そして今、はっきりした。馬鹿と罵りながらも彼はアルフレートなどより共に戦うに相応しいと。

「だからこそ、裏切るかい。まあ、そうなるだろうと予測はしていたが」

「そうなのか?だとしても俺はアンタを倒せるつもりなんだが」

ハッタリでないといわんばかりに堂々と構える。

「勝手に進めんな。テメエ等身内の争いは別の場所でやってろ」

司狼はさっさと失せろと言った風に虚勢を張る。
リスクコントロール。現状、アルフレートが手を抜くつもりが無いことが分かっている。だからこそティトゥス程度では勝てないことが分かる。それなら自分が時間を稼いでいる間に玲愛を逃がすようにしたほうが良いと判断してた。

「分かってるよ。司狼だったな、選手交代だ。俺が時間稼ぐからその間にゾーネンキントを連れて行きな」

「出来んのかよ……」

「やるんだよ。これでもあれは元主だ。時間稼いで逃げるくらいなら出来るさ。それどころか運んでる間に俺が斃しちまうかもな」

「笑えねえよ。俺の中に勝手に居たお前なんかに勝てるかよ」

「そりゃ面倒だったからに決まってるだろ。俺が本気出したらそりゃもうこんな奴、如何とでもなるんだよ」

明らかにハッタリと分かるがそれでも相手の気を自分に引くためにそう言う。

「さて、此処で戦うのは面倒だが後々のことを考慮すれば処理したほうが良いかな」

死の森の中でもう一つの戦いが始まる。無論、それは白である二人には関係なきことだろうが。



******



「畜生ッ、畜生ッ!!」

「ガア
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