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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第九十三話 前途多難
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えている。さて、どうする?
これまで地球教や憂国騎士団を監視対象として見ていた組織は無かった。唯一それをやったのが防諜課第三係、俺の所だ。中将からの依頼を受けて密かに監視を行ってきた。何かあるとは思っていたがまさかこんな事になるとは……、中将が顔を上げた。
『准将の押さえている情報をシトレ元帥に伝えてください』
「全てですか」
『全てです。連中と親しくしていた軍人、経済人の情報も出してください。帝国と協力するのに馬鹿な主戦派など不要、元帥にはそう伝えて貰えますか』
「分かりました」
なるほど、段々見えてきたな。目の前の男が何を考えているのか、そしてシトレ元帥、トリューニヒト委員長が何を考えているのか。面白いな、軍人達が和平を考えるか。どれだけの人間が気付いているかな……、これだからヴァレンシュタインに協力するのは止められん。
「しかし、出来れば事前に教えていただきたかったですな」
『不満ですか』
「多少は有ります」
中将が俺の言葉にクスッと笑った。
『言えば信じましたか』
「さて、事が事ですから何とも」
『今は』
「もちろん信じていますとも」
また中将がクスッと笑った。
『問題は無いと思いますが』
「……まあ、そうですな」
やれやれだな、またあしらわれた。思わず苦笑すると向こうも笑っている。悪くない、何となくそう思った。
「この後は如何しますか」
『そうですね、当たり前の話ですが帝国の情報とフェザーンの情報が欲しいと思います』
「なるほど……、実はその件で少々問題が発生しました。ヴァレンシュタイン提督にも御協力頂きたいのですが……」
『……なんです』
「今回の一件で調査課がかなり苛立っています。連中、私にも監視を付けたようですな」
中将が一瞬目を見張った。そして笑い声を上げる。
『それはそれは、准将は重要人物になったという事です。おめでとうと言うべきでしょうね』
なるほど、そう言う考え方も有るか。こちらも釣られて笑った。
「実際問題、調査課の協力が得辛くなっています。この辺でガス抜きが必要と思いますが」
『調査課と話をしろという事ですか。……面倒ですね、シトレ元帥経由で入手しますか』
ヴァレンシュタイン中将が眉を顰めている。詮索されるのは誰だって好きではない。気持ちは分かるが取引は必要だ。調査課は敵に回すより味方に付けた方が得だ。
「反発が強くなります、お奨めは出来ません」
『……』
「私も同席します。無茶はさせません、如何です」
『……そうですね、……そうしますか。但し、場所はハトホルにしてください。それ以外は認めないと』
「承知しました」
話を終えて部屋の外に出ると見慣れた顔が有った。
「ザックス、どうしたんだ、こんなところで」
「バグ
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