第2話 式神使い
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である事が判っている」
どうも、この目の前の少女は、悪魔や神と言われる存在と言うよりも、人工的な生命体の雰囲気が強い。
しかし、相手がホムンクルスで有ろうと、那托で有ろうと、フランケンシュタインの人工生命体で有ろうとも、消費される物が同じ霊力ならば、俺にも賄う事は可能。
「ならば、答えは簡単。長門さんを一時的に俺の式神状態と為して、その造物主との連絡が回復し次第、俺との式神契約を解除すれば良い。ただそれだけ。それに、今回は緊急避難的な措置での契約やから、別に、俺の方から、長門さんに何の仕事の依頼を行う心算もない」
冬の夜。地上の喧騒から離れたマンションだからなのか、それとも、何か特殊な防音設備が施されているか、なのかは定かでは有りませんが、外界からの雑音は無く、10畳ほどの広さのリビングに布団すら掛けられていないコタツのみが存在するこの部屋に、俺の声だけが響く。
妙に余韻を持つかのように聞こえるのは、壁に声が反射されるだけの、音が吸収される物が存在しない殺風景な部屋故の状況だから、なのでしょう。
俺の言葉に、納得したのか、あっさりと首を縦に振る長門さん。
これは肯定。但し、その瞬間に少しだけ違和感。それは……突然、自らの目の前に現われた正体不明の存在(=俺)の言う事を余りにも簡単に信用している事。
確かに、現状で彼女が自らの身を護る為に打てる手は……彼女に残された時間から考えると、俺の示す策以外に存在しない可能性もゼロではないのだが……。
流石にこれほど素直で、他者を疑うという事を知らないのでは、その内に良からぬ事を考えた……腹に一物と言う輩に簡単に騙されて仕舞う可能性が……。
長門有希と名乗った少女に少しばかりの危うさを感じながら、しかし、逸れ掛かった思考を元に無理矢理に戻す俺。
いや、これが実は現実逃避の末に為された思考だと気付いたから。
そう。本当に、俺が覚悟を決めなければならないのは、この後。
その理由は……。
「但し、その方法にかなりの問題が有る。普通の式神契約の場合、カードにその存在を指し示す納章を写し取る事や、宝石や呪符に封じる事に因って契約は完了する。
せやけど、長門さんのように、受肉した存在。現世で、魂魄と肉体を同時に持っている存在に対しては、この方法は使えない」
俺の言葉に、何故か、少し陰の気を発する長門有希。これは、今までの物とは雰囲気が違う。……これは、否定?
そうして、
「造られた存在のわたしに、魂は存在していない」
初めて、彼女の由来と、彼女自身の心情が語られた。
但し、その呟きに等しい言葉は、酷く哀しい、そして、寂しい言葉であった。
「確かに、俺も、長門さんが造られた存在で有る可能性は考慮している
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