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ヴァレンタインから一週間
第2話  式神使い
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、少なくとも、彼女は虚偽の答えを為した訳でない事は間違いないでしょう。
 少なくとも、彼女自身が世界に歪みをもたらせようと考えている訳ではない事は確かだと思います。

「その任務は、長門さんが死亡した後は、誰が引き継ぐ事になっているんや。
 このままでは、貴女はそう長い時間、その身体を維持する事は出来ない。もし、生命を賭しても遂行する必要が有る任務なら、貴女のバック・アップは存在すると思うけど」

 そして更に質問を重ねる俺。但し、この質問の答えは否定的な答えが返って来ると思っているのですが。
 何故ならば、彼女にバック・アップが存在するのなら、今が一番、それを必要としているタイミングだと思いますから。おそらく、俺の予想では、後、三十分ほどで、彼女の霊力は枯渇します。

 ただ……。

 う〜む。しかし、彼女が保持出来る霊力の総量と、現在消費している霊力から推測すると、彼女は、現在、何らかの術式を行使している最中の可能性も有りますね。
 何らかの術式を行使しながら、自らの生命も維持しなければならないとなると、彼女が消費している霊力が大きく成っても仕方がないとは思いますが。

 案の定、ふるふると首を横に振る長門有希。そして、

「現在、わたしのバック・アップとの連絡は途絶中」

 ……と、短く、質問に対する答えのみを伝えて来た。
 成るほど。一応、バック・アップは存在するのですか。

「ならば、あまり時間が残っていないから、さっさと話を進めるな」

 俺の言葉に、少し興味を持ったのか、寂寥や達観とは違う気……気配を発するように成っている長門有希と言う名前の少女。
 そして、それは良い傾向だと思います。陰の気は、更に悪い流れを呼び込む原因と成ります。根拠のない空元気でも、陰々滅々としているよりは、余程ましですからね。

「先ず、現在、長門さんは、自らの生命を危険に晒しても成し遂げなければならない任務の最中。しかし、現実に、その生命に危機が迫っているのに、自らのバック・アップとの連絡は途絶中。そして、長門さんに命令を下した存在との連絡も途絶中。それで間違いないな?」

 もっとも、彼女に命令を下した存在との連絡が途絶しているのは俺の想像でしかないのですが。ただ、それでも、現状での彼女の置かれている状況を知っているのなら、何らかのアクションが為されるはずなのに、現状では何も為されていないのですから、途絶中だと考えても間違いではないと思い、こうやって聞いてみたのですが。

 案の定、俺の問いに対して、ひとつ首肯いて肯定を示す長門有希。

 さて。そうしたら、後は、彼女が信用出来るかどうか、ですか。
 そう思い、その、メガネを掛けた少女を再び、じっと見つめる俺。
 但し、それはただ見つめただけでは有り
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