第2話 式神使い
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った時から変わる事のない、感情を読み取る事の出来ない透明な表情を浮かべるのみで有ったのですが、彼女が、シルフを見た瞬間に発した気は、明らかに驚いたような雰囲気で有りました。
ふむ。何故か、少し勝利をしたかのような気がしますね。
「俺は式神使い。神霊や悪魔、それに精霊などを友として契約を交わし、世界に歪みをもたらせる存在を、その有るべき世界へと送り返す役割を担う存在」
そう説明する俺。但し、故に、陰気を発生させる元に成りかねない、この目の前の少女を無視する事が出来はしないと言う事でも有ります。
そして、場合によっては強制送還。もしくは、この世界で発生した付喪神系の存在ならば、封印のような処置を施す必要が有ると言う事でも有るのですが……。
この世界の陰陽のバランスを整えて、陰にも、まして、陽の方にも傾き過ぎないように保つのが、俺の役割ですから。
そう考えながら、長門有希と名乗った少女を見つめる俺。
透明な表情に、銀のフレームのメガネと、ややもすれば冷たいと表現すべき瞳。薄いくちびる。そう、それは、精緻な人形を思い起こさせる美貌を持つ少女。
但し、彼女から気を感じる事が出来る以上、彼女は、俺の規定する範疇では生命体で有る事は確かです。
そんな彼女を相手に、強制送還や、強制封印などと言うかなり荒っぽい真似はしたくはないのが事実なのですが……。
何故ならば、長門有希と名乗った少女とは言葉を交わす事が可能です。狂った、こちらと意志の疎通が出来ない相手でないのならば、ちゃんと説明を行い、納得して貰う事も俺の仕事のひとつですから。
「俺には、長門さんが帯びている任務の内容を教える事は出来ないんやな?」
俺の問いに、長門有希が少し考えるような空白の後、小さく首肯く。
「その任務は、自らの生命を賭してでも為さねばならない任務でも有る、と言う訳か?」
更に続けた俺の質問に、同じように少し考えてから、彼女は小さく首肯く。
但し、今度の肯定は、答えと同時にかなり大きな陰の気を発したトコロから推測すると、何らかの強制力が行使されていて、彼女が本心から、その任務とやらを受け入れている訳では無さそうな雰囲気を感じました。
矢張り、真名か、契約に因って縛られているパターンか、それとも、元々、心の存在して居なかった被創造物が時を経る内に心が発生した後も、造物主によって支配され続けているパターンのどちらかの可能性が高いと思いますね。
それに、どちらにしても、かなり問題が有る状況には変わりがないでしょう。
「その任務とは、世界に対して害を及ぼすような種類の物ではないな?」
この質問に対しても、彼女は首肯く事によって肯定した。
尚、その際には、一切の陰の気が発生する事は無かったので
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