第51話
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陽が落ちて夜を迎えた海岸に神裂と麻生は海をじっと見つめながら立っていた。
神裂の情報が正しければ目の前の海から騎士達がやってくるとのこと。
麻生は半信半疑になりながらも神裂よりも二、三歩下がった位置の所で立っていた。
神裂曰く、麻生が騎士達を倒してしまうと面倒な事が起こりかねない。
なので数歩後ろに下がった位置に立っている。
すると、神裂は腰に巻いた革ベルトにある七天七刀に手をかける。
その瞬間に黒い海面から「手」が現れる。
「うは〜・・あいつらまじで泳いできたのか。
俺だったら途中で諦めるわ。」
「騎士達はあなたのように面倒くさがりではありませんからね。」
む、と麻生は前で刀に手をかけている神裂を睨み付ける。
麻生の視点からでは見えないだろうがこの時、神裂は小さい笑みを浮かべていた。
そして、騎士達と戦うであろうこの状況で笑みを浮かべている自分に気づき少しだけ驚く。
(こんな状況で笑みを浮かべるとは。
彼がいなければこんなことはなかったでしょう。)
神裂は笑みを浮かべた自分を責めはしなかった。
一人の騎士がテトラポッドを掴み海面を割ってテトラポッドの上へと乗り上げる。
全身は西洋の鎧を身に纏った、まさに騎士という名にふさわしい格好だった。
それを見た麻生はもう一度うは〜、と声を上げた。
最初の一人が上陸を果たすと、それを真似るように次々と騎士達が海面から姿を現し、テトラポッドの上へと身を乗り上げた瞬間だった。
神裂は一瞬で騎士達との距離と詰めると七天七刀を両手で持ち、騎士達が乗っているテトラポッドに向かって振りかざす。
テトラポッドと騎士達は、まるで火山の爆発のように勢いよく吹き飛ばされる。
騎士達は空中で投げ飛ばされるが、宙で身をひねりバランスと取り戻し、着地点を探すために視線を地面へ走らせる。
神裂は相手に考えて、行動する時間すら与えさせないために騎士達のいる空中まで飛ぶ。
そして、騎士達に鞘による打撃を一人一人確実に決めていく。
その間、わずか一秒。
鞘による一撃を受けた騎士達は、地面に叩きつけられ、絶壁の中へとめり込み、崖の上の道路へ身を乗り上げた。
海へ吹き飛ばされた者は飛び石のように海水の上を滑っていった。
騎士達を薙ぎ払うと、神裂は静かにテトラポッドの上へと着地する。
突如激しく海面を割る音が聞こえた。
神裂がその音のする方に視線を向けると、二人の騎士が麻生の両側に立ち首筋に剣を突き立てていた。
「う、動くな!!
動けばこの男を殺すぞ!!」
一人の騎士が声を震わせながら神裂に向かって叫ぶ。
それを聞いた神裂は小さくため息を吐く。
「あなた達は騎士でしょう。
騎士が一般人に剣を突き立てるとはどういう事か分かっているのですか?」
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