第50話
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と重なってイングランド・スコットランド・ウェールズ・北部アイルランドという、四つの地方文化が存在するひどく複雑な国家だ。
その中でも騎士派と清教派は仲が悪い。
「おそらく、イギリス清教が「法の書」とオルソラ=アクィナスの救出作戦の援護を申し出ても、彼らはこう思う筈です。
天草式など皆殺しすれば良い、と。
ローマ正教の信者であるオルソラが死んだ所でこちらには何の影響もない、と考えるはずです。
そんな彼らがローマ正教達と合流すれば散りもしない命が散っていく事は確実です。
これから向かう海岸は騎士達が海中を通って地上に現れるポイントです。」
「騎士達が居れば天草式にも死人が出るかもしれないから自分が迎え撃つつもりか。
そんな事をすれば色々問題が出るんじゃないのか?」
「科学側のあなたが彼らを倒せば問題はありますが私はイギリス清教に所属してます。
私が彼らを倒しても上が何とかするでしょう。」
神裂はそう言うと歩を進める速度を上げていく。
それに麻生も合わせていく。
何がしたいのか分からないと言った彼女だがきっと彼女は天草式が心配なのだ。
だが、自分が弱いせいで彼らを傷つけてきた。
彼らを傷つけるのが嫌だったからこそ天草式を抜けた。
そして、自分が抜けても天草式は正しい道を歩いていけるかどうかを確かめに来た。
彼女はおそらく分かっている。
自分は天草式が心配で此処にきた事を。
彼女はおそらく分かっていない。
今のままでは麻生が言った言葉の意味が一生分からない事を。
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