第50話
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始める。
「その者の名前はオルソラ=アクィナス。
ローマ正教の修道女です。」
「ローマ正教・・・・そのオルソラが「法の書」を解読して、天使の術式を得たローマ正教を倒す為にステイルは俺を呼んだ・・・そんなところか?」
もし「法の書」が解読されればローマ正教は莫大な力を手に入れる事になる。
イギリス清教や他の魔術結社はより一層戦力を強化をしなければならない。
麻生恭介は聖人である神裂と互角に戦える力を持ち、上条当麻の右手は魔術に対してとても有効な能力を秘めている。
イギリス清教は早い内に麻生と上条をこちら側に引き入れようとしているのだと麻生は考えた。
「いえ、違います。」
だが、神裂の答えは麻生が思っている事と全く逆の答えだった。
「ステイルがあなたを呼んだのはそんな事ではありません。
加えて、私が此処に来たのもステイルがあなたを呼ぶ要件と似ていますが違います。」
「どういう事だ?」
「その前にこの事を伝えないと話は進みません。
「法の書」とオルソラ=アクィナス、この二つが一緒に盗まれたのです。
天草式十字凄教の手によって。」
天草式という単語を聞いた麻生は眉をひそめた。
「その天草式ってのは前にお前が所属していたところじゃないのか?
もしかして、この一件は全部お前が仕組んだ事なのか?」
「違います。」
声を荒げる事無く神裂は即答する。
麻生は神裂の目を見るがその眼は真っ直ぐで嘘をついているように見えなかった。
それを見た麻生はため息を吐いて言う。
「じゃあ聞くが、お前はここに何をしに来たんだ?」
麻生がそう聞くと突然、神裂は困ったような表情をする。
言いにくい事なのか何も言えずに二人の間に沈黙が流れる。
すると、意を決したのか顔を少しだけ赤くして言った。
「私の傍にいてくれませんか?」
「は?」
麻生は大方、何を手伝ってほしいというお願いだと思っていたが、それとは全く違う回答に思わず声が出てしまった。
神裂は未だに自分の言った言葉が恥ずかしいのか顔がまだ赤いままだ。
さすがの麻生も困惑している。
「一体、何がどういう理由で傍にいてくれませんか、という事になるんだ。
あと、その言葉をそのままに捉えると付き合ってくださいって言っているようなものだからな。」
それを聞いた神裂はその言葉の意味にようやく気付きさらに顔を赤くしながら慌てて否定する。
「ちちち、違いますよ!
今の言葉はそういう意味ではなく!
ただですね・・・その・・・」
最初は慌てていた神裂だが徐々に声が小さくなっていく。
「私は前にあなたが言った言葉の意味が分からないのです。
「御使堕し」の一件の後
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