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SAO−銀ノ月−
第三十七話
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に右側面という場所であった。

 これで絶対に包丁、もしくは包丁を持っている右手を行動不能に出来ると、日本刀《旋風》を振るいながら確信した……のだが、Pohは俺の予測を遥かに超える、それこそ人間には似つかわしくない本能的な動作で、俺の日本刀《旋風》をその手に持った包丁で正確にガードしていた。

 このアインクラッドにおいては、自身は多用しているものの、本来は武器破壊というのは狙っていないとほぼ不可能なことだと設定されている。
何故なら、自身が使う武器の強度や、相手が使う武器の強度、武器の耐久力、そして武器破壊のために当てる場所など様々なことがかみ合ってきてしまうからだ。

 Pohの人間離れした反応によるガードで、俺の狙いだった武器破壊、あるいは利き手にダメージを与えるという目論見は、二つとも失敗してしまい、ただ《縮地》の使用が無駄になっただけで終わってしまった。

「武器破壊、か……an exampleを見せてやるよ」

 ニヤリと口の端を吊り上げるように笑ったPohは、まずはガードした俺の日本刀《旋風》を切り上げた後に即座に体制を整え、今度はこちらの番だとばかりに包丁を俺めがけて斬りはなった。

 だが、奴が体制を整える隙があるということは、当然俺にもその体制を整える隙があるということとなり、Pohの包丁と俺の間に滑りこませるように日本刀《旋風》を入れることによって、何とかその凶刃を受け止める。

 ……待てよ? さっきアイツは、英語で何て言った……?

 先程言っていたのはそう難しい単語ではなく、日本刀《旋風》で包丁を受け止めながら脳内で日本語に翻訳する……そして、この攻撃を日本刀《旋風》で受け止めることこそが一番の下策であることを悟った。

 先程Pohは、『武器破壊の例えを見せてやる』といった意味の言葉を言った……その言葉はハッタリでも何でもない純然たる事実であり、Pohの攻撃を防いだ筈の俺の愛剣、日本刀《旋風》は――中ほどから、叩ききられていた。

 鍛冶スキルのおかげとはいっても、第一層から抜け出すために自らが打った日本刀が、今まで日本刀であったことの方が嘘であるかのように、もはやただの鉄となってしまった銀色の刀身は地面に突き刺さり、俺の手の中に残された柄の部分と共に、ポリゴン片となって消滅した。

 そして日本刀《旋風》が折られたということは、ガードに使っていた物が無くなったということであり、必然的にPohの包丁は、日本刀《旋風》だけでは飽きたらず俺の身体を深く切り裂いた。

「……ぐぁぁっ!」

 Pohの包丁に切り裂かれたことで傷口となったであろう場所を抑えながら、情けなく悲鳴を上げてしまう俺はナメられているのか、Pohは何故かトドメを刺さずに、悶えていて隙だらけの俺に追撃もせずに包丁
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