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「ただいま、ユキ、アスナ」

「ただいま。こちらは釣り師のニシダさん、で」

 キリトがどう紹介するか迷ったのか口ごもる。しかしアスナとユキは老齢の釣り師に微笑んで言った。

「キリトの妻のアスナです。ようこそいらっしゃいませ」

「私はゲツガの妻のユキです」

 二人とも元気よく頭を下げた。

 なんか改めてユキが自分の名前を呼び、妻と宣言したところを聞くと妙に恥ずかしく感じる。ニシダのほうはぽかんと口を開けて、アスナとユキに見入っていた。二人ともエプロン姿で、料理もしくは準備してたのだろう。

 ようやく我に返ったニシダは笑いながら言う。

「い、いや、これは失礼、すっかり見とれてしまった。ニシダと申します、厚かましくお招きにあずかりまして……」

 そして今日の収穫品のニシダの釣った大きな魚とニシダのよりも一回り小さいが申し分ない大きさのゲツガが獲った魚を調理し始める。

「ゲツガ君と私が煮物作るから、アスナは刺身をお願い」

「分かった、けどユキ、ゲツガ君の言うことはちゃんと聞いてよ。ユキはまだそこまで料理スキルが高くないんだから」

「分かってるよ」

 そして、俺とユキは煮付け、アスナが刺し身を作り、その料理を美味しく堪能した。ニシダの釣った魚は鰤のように脂の乗った味で、ゲツガの獲った魚は、マグロのような味がした。

「……いや、堪能しました。ご馳走様です。しかし、この世界に醤油があったとは……」

「ああ、これ、自家製なんです。よかったらお持ち下さい」

 そう言って、アスナはキッチンから小さな小瓶を持ってきてニシダに渡した。恐縮するニシダに向かって、こちらこそ美味しいお魚を分けていただきましたから、と笑う。続けて、

「キリト君、ろくに釣ってきたためしがないんですよ」

「そうだね。いつもゲツガ君が獲った魚か私たちが買い物に行って買ったものだしね」

「おいおい、キリトをいじめるなって。結構スキルが高いはずなのに、ほとんど釣ったことがないのは確かだけど。スキルが高いはずなのに」

「いや、普通にお前が言ってることが一番ひどいからな。いや、ここの湖のランクが高すぎるんだよ」

「いや、そうでもありませんよ。難易度が高いのはキリトさんが釣っておられるたあの大きな湖だけです」

「な……」

 ニシダの言葉にキリトは絶句し、アスナとユキとゲツガは腹を抱えて笑う。

「キリト君、そういうことは調べてからにしようよ」

 ユキがくすくすと笑いながら言った。

 そしてキリトは、呟くように言う。

「なんでそんな設定になってるんだ……」

「実は、あの湖にはですね……」

 ニシダは声をひそめるように言った。ゲツガたちは身を乗り出してニ
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