休日1
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ということだ。
「いやあ、何もログインまでせんでいいと上には言われてたんですがな、自分の仕事はこの目で見ないと収まらん性分でして、年寄りの冷や水がとんだことになりました」
笑いながら、キリトの横に行き、すい、と竿を振る。その動作は見事なものだ。ゲツガも近づいて腰を降ろす。座った瞬間、ニシダは再び話し始めた。
「私の他にも、何だかんだでここにきてしまったいい歳の親父が二、三十人ほどいるようですな。大抵は最初の街でおとなしくしとるようですが、私はコレが三度の飯より好きでしてね」
手に持つ竿をくいっとしゃくって見せる。
「いい川やら湖など探してとうとうこんな所まで登ってきてしまいましてね」
「な、なるほど……。この層はモンスターも出ませんしね」
ニシダは、キリトの言葉ににやりと笑うだけで答えず、
「どうです、上のほうにはいいポイントはありますかな?」と訊ねてきた。
「六十一層に全面湖?いや、海?まあ、結構いいポイントで相当大物が連れると思うぜ」
ゲツガが答える。
「ほうほう!それは一度行ってみませんとな」
その時、ニシダの竿から垂れていた糸の先にある浮きが勢いよく沈んだ。それと同時にニシダの腕も動く。腕の動きもさることながらスキルも相当なものだろう。
「うおっ、で、でかい!」
「確かにでかいな」
ニシダは竿を操り水面から青き輝く大きな巨体が一気に抜き出だした。魚はニシダの手元に落ちてきてに少し跳ねたあと、自動的にアイテムウインドウに収納された。
「「お見事……!」」
ニシダは照れたように笑うと、
「いやぁ、ここでの釣りはスキルの数値次第ですから」と頭をかきながら答える。
「ただ、釣るのはいいんですが料理のほうがどうもねぇ……。煮付けや刺身が食べたいもんですが醤油無しじゃどうにもならない」
「おい、ゲツガ」
キリトが耳打ちしてくる。
「何だ?」
「お前持ってたよな?醤油」
「ああ、けど今はキリトたちの家に置いてるぞ」
「そうか。ちょっと分けてあげるか。……でも、この人、言いふらさないだろうか」
「そんなの興味なさそうだからいいだろ」
そう言ってキリトがニシダのほうを向き直り言った。
「醤油にごく似ている物に心当たりがありますが……」
「なんですと!!」
ニシダはメガネの奥で目を輝かせ、身を乗り出してきた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
キリトとゲツガはニシダを伴ってキリトの自宅に帰宅した。出迎えたユキとアスナは少し驚いたように目を丸くしたがすぐに笑顔で出迎えてくれた。
「おかえり、ゲツガ君、キリト君」
「おかえりなさい、お客さん?」
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