第十二話 龍を喰らうもの
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るのだった。ナタルはその後姿をラーディッシュから見て言うのであった。
「気の毒だが。どうしようもないな」
「どうしようもないのかね」
「はい」
きっぱりとヘンケンに答える。
「こればかりは。やはり」
「戦争とは違ってか」
「はい。私も傍観するしかありません」
「それはまたどうしてなんだい?」
「それはですね」
少し間を置いてから述べてきた。
「恋路になるからです。そこに入るのは」
「憚れるか」
「そうしたことに入る趣味はありません」
ナタルはこうしたところでも生真面目であった。
「協力を仰がれれば別ですが」
「今回もか」
「それでも今回は遠慮願います」
いつもとは違い薄情なナタルであった。
「何故かね、少佐」
「私も命が惜しいからです」
きっぱりと言い切った。
「あんなものを飲んでは。それこそ」
「死ぬというのか」
「その通りです」
見ればナタルの顔も強張っていた。
「あれはまさに戦略兵器です」
「戦略兵器か」
「どうにも。ロンド=ベルには戦略兵器の開発者が多いのが問題ですが」
「ううむ、確かにな」
これにはヘンケンも頷く。その通りだった。
「彼女といいミナキ君といい」
「ラミアス艦長もラクス嬢も。どうにも」
「ミスマル艦長もだったな」
「残念なことに」
何故かユリカについては残念と評するナタルであった。
「どうにもこうにもです」
「あれもまた才能か」
「才能です」
それもまたはっきりと言う。
「兵器を作るのもまた」
「少佐はどうかね?」
「私ですか」
「料理上手だそうじゃないか」
「自分ではそのつもりはありません」
謙遜して言うのだった。
「私はただ普通に本を見ながら」
「そうか。意外と家庭的なのだな」
「いえ、それは」
急にしおらしくなるナタルであった。
「別に。私は」
「そうか。私もな」
何故か笑みを浮かべるヘンケンであった。
「エマ君の料理は好きだが」
「いいのでは?それで」
ナタルはよくわかってはいなかった。
「シーン大尉も料理の腕は」
「それがあまり食べられなくてだ」
ナタルがわかっていないのをいいことに罠にかけていく。
「そういえばキース君も」
「キース!?」
見事に引っ掛かった。
「エマ君の料理を褒めていたな」
「それは本当ですか!?」
血相を変えてヘンケンに問う。
「キースが他の人の料理を」
「らしいな」
「嘘です、それは」
ナタルはムキになってそれを否定する。
「キースは私の手料理しか食べないんですから、それは」
「嘘だというのかね」
「そうです、昨日だって」
罠にかかったまま言う。
「あんなに美味しそうに食べていましたし」
「そうか。ならいい」
ヘンケンはそこまで聞いて満足そうに笑うのだっ
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