第十話 内なる修羅
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わかりました。それでは」
部下達もそれに頷く。こうして百鬼帝国は無人機だけ残して撤退したのだった。
その無人機が問題だった。トウマに攻撃を集中させてきたのだ。トウマはその無人機を相手に奮闘していた。その奮闘自体には問題はなかった。
だが彼自身は異変に気付いてはいなかった。雷鳳自体の異変に。
「うおおおおおおおおおおっ!」
倒せば倒す程雷鳳の力が増していく。まさに鬼神の様になってきていた。
それに皆気付きだした。まずレーツェルが言った。
「まずいな」
「うむ」
ゼンガーがそれに頷く。
「このままでは彼が持たないぞ」
「トウマ!」
ゼンガーが彼の名を呼んだ。
「落ち着け!気を鎮めよ!」
だが返答はない。鬼の如く敵を殴り倒し蹴り倒すだけであった。そして敵を倒し終えると今度はゼンガー達に向かって来たのであった。
「来たか」
「ならば!」
ゼンガーがそれを見てすっと前に出た。
「えっ、何」
ミナキはそれを見て血相を変えた。
「何するの、一体」
「何するのって決まってるでしょ」
ミサトが横から言った。
「このままだとトウマ君が」
「駄目よ、そんなの!」
ミナキはミサトの言葉を聞いて叫んだ。
「雷鳳が!このままじゃ!」
「ちょっと待ちなさい!」
今の言葉は流石に聞き捨てならなかった。
「貴女トウマ君がどうなってもいいの!?」
「そんなことより雷鳳が!」
彼のことは完全にどうでもいいといった感じだった。
「壊れたら!お父様が!」
「いい加減にしなさい!」
今度はリツコが叫んだ。
「えっ・・・・・・」
「貴女は彼が見えないの!」
普段はクールな彼女が叫んだのは効果があった。ミナキも動きを止めてしまった。
「彼は貴女にあんなこと言われてもまだ頑張っていたのよ!」
「けれどそれでも彼は」
「不適格とでも言うつもり!?」
ミサトもミナキを睨んでいた。
「だから切り捨てる。そう言うつもり?」
「私は別に」
そう言われるとミナキも反論できない。自覚していなかっただけなのだから。
「そんなことは」
「言っていたわ」
ミサトはミナキを睨み据えて言うのだった。
「あの時。だから皆怒ったのよ」
「・・・・・・そうだったの」
「貴女、人として最低よ」
ミサトもこれまでにないきつい言葉を口にする。
「最低・・・・・・私が」
「そうよ」
また言う。
「そうして人の努力も気持ちも見られない人間ってのはね。最低なのよ」
「シンジ君いるわね」
リツコはシンジを出してきた。
「ええ」
「彼なんか最初はどうしようもなかったわ」
「シンジ君が」
今では立派なロンド=ベルの一員の彼もである。かつては気弱でとても戦えない少年だったのだ。今ではロンド=ベルの中で心優しい少年として頑張っているが。
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