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レンズ越しのセイレーン
Mission
Mission6 パンドラ
(7) 霊山頂上(分史)~ニ・アケリア村 参道側通用門
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 霊山の頂上の突端。ミュゼはそこに立ち、しきりに天へと祈りを捧げていた。
 ここからでは距離があって台詞は聞き取れないが、真剣なのは痛いほど伝わった。

 ミュゼに隙を作るため、ついにミラが動いた。
 ミラは同じ台地に登り、恐る恐るといった感じにミュゼに声をかける。
 ミラが何を言っても、ミュゼはぴしゃりと退けるばかり。

「取りつく島なし」

 ユティが写真を撮りながら呟く。

「こんな時くらいそれやめろよ」
「フラッシュもシャッター音もオフにしてる。ミュゼには気づかれない」
「TPOを弁えろって言ってんだ。親の顔が見てみたいぜ」
「――もう見てるくせに」
「何か言ったか?」
「ミラがキレる」
「「「はぁ!?」」」

 ルドガーだけでなく、レイアもアルヴィンもこぞって前のめりになった。

「どうして姉さんは……っ!」

 叫ぶや、ミラを中心に火の大蛇が躍った。ミラが腕をミュゼに向けると、火はミュゼを包んで火柱へと変わった。

(隙を作るなんてもんじゃない。今のミラ、本気でミュゼに攻撃してた。妹が姉に本気で、しね、って願う、なんて)

 ルドガーは一連の光景に、心の奥の奥を焙られたようなくすぐられたような、奇妙な、そう、胸騒ぎを覚えた。

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 今のミラの行為は確かにルドガーの背中を押した。だが、押されるままに進めば、ルドガーは後戻りできなくなる。そんな予感だけが強かった。




 ミラを騙し、ミュゼと戦い、ミュゼを殺してカナンの道標を回収し、一つの分史世界を終わらせた。
 その結果が、分史の住人であるミラを正史世界に連れ込むというイレギュラーな事態だった。

 困惑がちに立ち上がったミラ。ルドガーはアルヴィンやレイアと共に呆然と参道側入口の前立ち尽くすしかなかった。

(手紙にあった。分史世界の物質を持ち帰れるのは『クルスニクの鍵』っていわれる能力者だけだって。これがそういうことなのか? 俺はミラに何もしてない。じゃあ、『鍵』は――)

 ミラと手を繋いでいるエルは、ただきょとんとするばかり。

「『ルドガーっ』」

 エリーゼとティポの声だった。ふり返ると、ジュードもローエンもいた。

「突然、正史世界に戻っていてびっくりしましたよ」
「よかった。時歪の因子(タイムファクター)、壊せたんだ……ね…」

 喜一色だったジュードは、ミラを認めるなり棒立ちになった。ローエンもエリーゼも驚愕をあらわにする。それを受けてレイアとアルヴィンが気まずげになる。

「姉さんはどうなったの!? 何が起こったか説明してよ!」

 ルドガーは腹を括
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