暁 〜小説投稿サイト〜
万華鏡
第十七話 甲子園にてその四
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「駄目だからな」
「そうよ、朝はね」
「一日がはじまらないからね」
「全くだよ。だから琴乃もな」
 父は優しい笑顔で娘に告げた。
「今もしっかりとな」
「食べてよね」
「甲子園に行って来い」
 こう笑顔で告げた。
「そして阪神の勝利を見て来い、いいな」
「勝てばいいけれどね」
 琴乃はこのことは断言できなかった、苦笑いにもなる。
「それはね」
「わからないな」
「阪神は特にそうよね」
「それがまたいいがな」
 父もこうした考えだった。眼鏡の奥の目が微妙に苦笑いになっている。
「そうはいかないからな」
「中々ね」
「それが阪神だからな」
 そうしたチームである。つくづく。
「しかしそれでもだ」
「応援は、よね」
「頑張って来い、そして楽しんで来い」
「そうしてくるね」
 父にも笑顔で応える。弟は寝ているが一家団欒の日曜の朝を過ごしてそのうえで歯も磨き服も着替えて。
 琴乃は甲子園に向かう前にまずは景子の家である神社に入った、そこで他の四人とあれこれ話をした。
 美優は琴乃の今の服を見てこう言った。
「琴乃ちゃんってな」
「どうしたの?」
「キュロット好きなんだな」
 その一見するとミニスカートに見える黄色いキュロットを見ての言葉だ。
「そうなんだな」
「うん、実はね」
 琴乃自身も答える。
「ミニスカートよりもね」
「好きなんだな」
「だって。ミニスカートだと下手に動いたら見えるじゃない」
 何が見えるかは言うまでもなかった。
「それでなのよ」
「成程な。実はあたしもさ」 
 美優は自分の黒のジーンズを見て言った。上は緑のシャツだ。
「ズボン多いのはさ」
「動いた時によね」
「見えないからさ」
 琴乃と同じ理由だった。
「よくはくんだよ」
「それでよね」
「けれど景子ちゃんもな」
 美優は景子も見た。今は彼女の部屋で五人集まってテレビゲームをしながらあれこれと話しているのだ。
「ミニスカートの下にスパッツか」
「これね」
「それもいいよな」
「冬にはじめた着方なの」
 景子個人ではそうだというのだ。
「冬って冷えるからね」
「だからなのね」
 琴乃も言う。
「スカートはいてそれで」
「そう、ストッキングみたいにね」
「スパッツはくのね」
「そうしてるの」
 こう琴乃に話す、スパッツの色は黒だ。
「それで今もなのよ」
「梅雨でそれは暑くない?」
「実は私冷え性だから」
 景子は少し苦笑いになってこう言った。
「それで今もね」
「スパッツなのね」
「スカートの下にね」
 それを着ているというのだ。
「冬だとスパッツの下にストッキングだから」
「二枚重ねなの」
「そうしてるのね」
「冬は好きだけれど」 
 それでもだと
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ