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人狼と雷狼竜
訓練模様と……
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うでなければ、モンスター達は人間にとって驚異ではないだろう。
「でも、そうでもなかったかも」
「ん?」
 不意に髪を触っていた神無の腕がヴォルフの肩に置かれた。
「ヴォル君は戻ってきてくれて、私達の先生になってくれてる」
「大したことじゃない」
「大した事なんだよ。ヴォル君が……世界に、百人に満たない上級ハンターの一人に直接師事して貰えるのって、凄い事なんだよ」
 神無の言葉を聞いたヴォルフは、それは確かに凄いことなのかもしれないと思った。
「それにね……」
 言葉と共に神無の両腕が首に……しかし優しく絡み付き、背中に柔らかくも暖かい感触がした。
 その感触に、何処か懐かしさを覚えた。
「あーーーーーーーーーーーー!!!!!」
 と、大きな声が訓練所中に響き渡った。
「神無ちゃん! ヴォルちゃんに何をしているんですか?」
「ふぇ!? お、お姉ちゃん!? それに皆も!?」
 神無は慌ててヴォルフから放れ、神無が放れた事で、どうも動いていいと思えなかったヴォルフも声のした方を向くと、そこには着替えを終えたらしい教え子達の姿があった。
 大声を上げた張本人でありながら何処か楽しそうな夏空。半目で二人を見ている小冬。興味津々、といった様子で二人を凝視する梓。何やら頬を赤くしている椿。……一人足りない?
 そこでヴォルフは、正太郎が着替えもせず更衣室にある丸椅子を並べてそこに寝転がって休憩していたのを思い出した。今頃は夢の中かもしれない。
「えっと……これは、ねえ?」
「何で疑問形?」
「ん?ん〜?」
「あ、あわわわわ……」
 慌てる神無、口の端を釣り上げて挑発的な笑みを浮かべながら問う小冬、周囲を回りながら面白そうに二人を観察する梓、何やら慌てて何かを言おうとするも言葉にできない椿。
 そんな面々を見ながら、ヴォルフは騒がしくも賑やかで、無人地帯とは違った意味で退屈には程遠い場所だな、と思った。
 余談ながら、正太郎は更衣室でそのまま朝を迎えてしまい、ヴォルフにベッド替わりの椅子から蹴落とされて起こされたという。
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