訓練模様と……
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!?」
鞘が振り下ろされる。それはまさに雷を連想させるような、力強さと威圧感があった。しかし、鞘は眼前で静止する。小冬の額との距離は紙一重と言って良い。
「腕の動きと肩と腰の動きに均一が取れていない。これでは如何に力を込めても威力は低いままだ」
ヴォルフはそう言いつつ鞘を小冬から退けた。
小冬は目を見開いて硬直していたが、膝を突いて崩れ落ちた。
「小冬っ!?」
「小冬ちゃん!?」
神無と夏空が駆け寄るが、小冬は地面に蹲ったまま肩で大きく呼吸を繰り返すだけだった。
「今の内に慣れておけ。ディアブロスの突進はこの比ではない」
ヴォルフの言葉に小冬は顔を上げた。額から顎の先に掛けて汗の雫が伝い地面に滴る。死の体感が齎した冷や汗だ。それは止まることが無かった。
「……遠いわね」
「ん?」
「アンタの背中は全く見えない。でも、いつか追いつく」
小冬はそう言って、いつもの挑発的な笑みを浮かべる。
「心意気は買おう。それと、足運びがなっていない。後で見本を見せる」
ヴォルフはそう言って次を誰にするか……と、まだ力量を見てない者達を見やる。
それを尻目に、小冬は冷や汗を手甲で拭うと立ち上がった。
神無の剣技を見始めたヴォルフの背中を見る。物理的には十数歩といったところだが、その距離は果てしなく遠い。
「でも、いつかは……」
誰にも聞こえることなく呟くと、先程ヴォルフに指摘された事柄を思い出しながら、ゆっくりと剣を降り始めた。
それからもヴォルフの実力テストは続いた。
神無はヴォルフとの手合わせよりも、自分自身の剣の型や剣筋、楯の扱い方等の確認から始まり、体術やヴォルフが投じる訓練用の水入り鞠の回避まで行った。
この水入りの鞠は獣革で作られた人の頭位の大きさと重さがあり、命中すると中々に痛い。
コレをヴォルフが投げるのだから、神無は必死に回避と楯での防御に徹する羽目になった。直撃を受けた樹木から聞こえた音には木を軋ませる音も混じっており、さぞや彼女に凍えるほどの危機感を与えただろう。
現に楯で受け止めたは良いものの衝撃で宙に浮いてしまったのは、実戦なら致命的な点だった。
「受け止めるのではなく受け流せ。防御の際は腰を据えて必ず足が地面に付くようにしろ。でなければ追い討ちが確定する」
「はい……頑張ります」
「神無は常に周りを確認し、的確に仲間を援護しつつ攻撃に加わるのが役目だ。遊撃要因は敵にとってはある意味最も厄介な存在となる。それに装備の性質上、戦闘の片手間に道具を使う事に適しているのが強みだ。多くの道具を携帯し、その使用法も誤る事の無いように心掛けるように」
項垂れる神無にヴォルフは神無の役割を告げた。ぱっと思いつくのは手投げ爆弾か、投げナイフ等だ。
「色々と覚えるの
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