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人狼と雷狼竜
訓練模様と……
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大ありよ」
 ヴォルフの言葉に梓は呆れたように溜息を付いた。
「これじゃ対人戦じゃない。ハンターとして鍛えるなら、まずは彼女の剣の型や軌道をある程度受けてみて、貴方の知るモンスター戦の経験からそれらを通じるか照らし合わせてから、色々と教えてあげるべきじゃない?」
 ヴォルフは梓の案を理解した。確かに合理的だ。コレなら色々と捗る。
「成る程、参考になった。礼を言う」
「べ、別に大した事無いわよ。貴方って妙なところで抜けてるのね?」
「む……」
 抜けていると言われて心外そうなヴォルフだが、どう言い返せば良いのかと少し思案に暮れる。
「貴女もよ小冬ちゃん。手合わせして貰うのは良いけど、意を汲んで貰わないと意味が無いわ。ちゃんとそれを伝えないと」
「伝わってた」
「……は?」
 小冬の言葉に梓は一瞬唖然とするが、聞き間違えかと思いつつももう一度尋ねた。
「私の意は伝わってた。さっきのままで良かった」
 小冬は少しムッとしていた。邪魔されたと思い、それが気分を害したようだ。
「えーと……小冬ちゃん? 貴女、さっきまでのアレで訓練になると思ってたの?」
「それはどうでも良い」
 小冬の言葉に梓は呆然と彼女を見詰める事しか出来なかった。
「私はただ、強くなりたい。いつかヴォルフを越えるから」
「……え?」
 梓は小冬の言葉が信じられなかった。頭が真っ白になった気分だった。
「……お前は何を思って俺を超えようと思った?」
 呆然としている梓を含めた全員に代わり、ヴォルフが小冬に尋ねた。
「負けたくない。ただそれだけ」
 ヴォルフは小冬を見て、彼女の言葉に一切の偽りが無いことを悟った。ただただ純粋に自分を超えようとしていることを理解した。
「……良いだろう。ただし、お前はお前自身の剣で俺を超えて見せろ。何年掛かってもだ」
「当たり前でしょ?」
 小冬が言葉と共に二刀を構えるのと、ヴォルフが鞘を構えなおすのは同時。
 そして小冬が姿勢を低くしたまま突進して斬り付ける。
 肩を狙った二連逆袈裟斬りから始まり、回転による遠心力を加えた右手の突きから左手での突き、唐竹割り左胴薙ぎの十文字切り、そこから回転しながらヴォルフへと飛び掛りながら二刀を勢いよく振り下ろす。
 怒涛のラッシュと言えるほどの連撃だったが、その全てがヴォルフには受け止められ、流されていた。
「即興にしては上出来だ。だが……」
 ヴォルフが手にした鞘が旋回して、小冬の二刀が絡み取られるように巻き込まれて弾き飛ばされ、少し離れた地面に突き刺さった。
 そのあまりに自然な動きに二刀が手から離れて今に至るまで何が起こったのか、小冬には分からなかった。
 気付いた時にはヴォルフが手にした鞘は最上段に構えられ、腰の捻りと共に振り下ろされようとしていた。
「っ
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