訓練模様と……
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が、ヴォルフからの追撃は来ない。
「無闇に切り込むな。下手に前に出れば思わぬ反撃を貰う事になる」
衝撃でクラクラする頭でもヴォルフの言葉の意味は理解できた。彼と初めて会った日、ドスジャギィの体当たりをまともに食らった原因と同じだ。
「まだ終わってない」
「来い」
二刀を構えなおすと、ヴォルフは鞘を正眼に構えた。
隙らしい隙がまったく見当たらない。何処から切り込めば良いのか分からない。
だが、隙が無いなら作れば良い。
そう思い至った小冬は目の前で二刀を交差させたまま距離を詰めた。
ヴォルフの刀を挟み込むように捕らえ、踏み込みながら左へ向けて払い除け……ようとしたところで、伸びて来た太刀の鞘で額を打たれた。
「あうっ!?」
今度は尻餅をついてしまった。
「隙が無いなら作れば良い。考えは悪くないが、今のは悪手だ。あの後どうやって有効打に繋ぐつもりだった?」
「……」
小冬は答えずに無言で立ち上がった。ヴォルフに隙を生じさせることに集中するあまりその先を考えていなかった。
「もう一度」
「良いだろう」
ヴォルフの言葉に小冬が頷くと、ヴォルフはゆっくりと刀に見立てた鞘を構えようとし、まったくの無動作で鞘を小冬目掛けて放った。
「え!?」
まるで弾丸のように飛来してくる鞘に瞠目するが、すぐに我に返って鞘を躱す。しかし、避けた先でヴォルフ待ち構えていたヴォルフが小冬の腕を掴み、そのまま投げた。
「かはっ!?」
背中から地面に叩き付けられて肺の空気が一気に放出される。
「敵によっては思いもしない攻撃を仕掛けて来る事がある。見た目に惑わされるな」
ヴォルフは小冬の呼吸が落ち着くまで待ってから言った。
「……ううっ」
呻く小冬だが、それでも二刀を手放していない。
そして立ち上がろうとしたところで気付いた。投げたままの体制のヴォルフの右手の手刀が小冬の首に当てられていることに。
今の投げはどうやら投げる前にナイフにような物を抜いてから相手を投げ、直後に首を斬りつける技のようだ。
ヴォルフが小冬から手を離して立ち上がり、落ちていた鞘を拾い上げて小冬を見たが、小冬は投げられた体制のまま起き上がれない。
「どうした?」
「……なんでもない」
ヴォルフの呼び掛けに我に返って起き上がる。ヴォルフの容赦の無さに唖然としていたようだ。
「もう一度!」
今度は気合を入れて言う。
「来い」
ヴォルフは今度は切っ先を前に向けた八双の構えを取る。
小冬も構えるとそのままの姿勢でヴォルフを観察し始める。それでもいつでも動けるように腰を落としている。
「はい。ストップ!」
と、急に梓が口を挟んだ。
「あのねヴォルフ君? コレじゃあ訓練にならないわよ?」
「何か問題でもあったか?」
「
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