第48話
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には予想できた。
能力者が魔術を使えば身体は破裂する。
麻生のような強大な能力の持ち主は本当に稀なのだ。
「今の現状を見る限り、その施設は潰されているみたいだな。」
「その通りよ、お互いの技術や知識が流れるのはそれだけで攻め込まれる口実にもなりかねねえからな。」
シェリーはポツリと呟くように言った。
「エリスは私の友達だった。
エリスはその時、学園都市の一派に連れてこられた超能力者の一人だった。」
その言葉に麻生は眉をひそめる。
エリスという名前はあのゴーレムにつけられていた名前と同じだ。
「私が教えた術式のせいで、エリスは血まみれになった。
施設を潰そうとやってきた「騎士」達の手から私を逃がしてくれるために、エリスは棍棒で打たれて死んだの。」
暗い地下鉄の構内に、教会のような静寂が張り詰める。
シェリーはゆっくりとした口調で言葉を続ける。
「私達は住み分けするべきなのよ。
お互いにいがみ合うばかりではなく、時には分かり合おうという想いすら牙を剥く。
魔術師は魔術師の、科学者は科学者の、それぞれの領分を定めておかなければ何度でも同じ事が繰り返されちまう。」
その為の、戦争。
「要はお前はお互いが一切干渉しないようにするのが目的だろ。
お互いの完全に接点をなくし対立による激突も、協力しようして生まれる摩擦も防ぐために。」
「何を知った風な口で話してんだ、クソガキ。」
そう言ってシェリーはドレスの袖からオイルパステルを取り出す。
麻生はそれに合わせて拳を作り、構えるがそこである疑問が浮かんだ。
シェリーの言葉が正しければエリスを二体同時に作る事は出来ない。
エリスはシェリーの切り札だ、それを使えないのにどうして此処で待ち伏せなんてした。
どうしてわざわざ麻生の目の前に現れるようなことをした。
それに気づいた麻生は周りを見渡す。
能力を使い暗闇の中でも見えるように目を変えると見渡す限り全てに魔方陣が描かれていた。
地下鉄全体とは言わないが前後一〇〇メートル以上くらいまでは魔方陣が描かれている。
「うふふ、どうやら気がついたみたいね。
私がどうしてお前の前に姿を現したのかを。」
その言葉と同時にヒュン、と空を引き裂くようにオイルパステルを横に振るうと、魔法陣が反応して淡く輝き始める。
「地は私の味方。
しからば地に囲われし闇の底は我が領域。」
歌うように、シェリー=クロムウェルは告げる。
「全て崩れろ!
泥の人形のように!!」
絶叫に呼応するように、周囲はより一層の輝きを増した。
麻生は前後にある魔方陣を一つ一つ素早く観察していく。
そして、絶望的な状況なのに麻生は一向に取り乱そうとしない。
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