第47話
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なんか浮かべっと思ってんのか気持ち悪りぃな。
私は着せ替え人形の服を脱がして興奮するような変態じゃねえんだよ。」
「あ、ぅあ・・・っ!!」
絶望する風斬の前で、石像の壊れた腕が再び再生していく。
周囲のガラスや建材を巻き込んで元に戻っていくその姿は、奇しくも彼女と良く似ていた。
これが、風斬氷華の本質。
人の皮を剥いだ後に残る、醜い醜い本当の姿。
「これで分かったでしょう?
今のあなたはエリスと同じ化け物。
あなたは逃げる事なんてできない。
そもそもどこへ逃げるの?
あなたみたいな化け物を受け入れてくれる場所ってどこかしら?
だから分かったろ、分かれよ。
何で分からないの?
テメェの居場所なんかどこにもないって事が。」
女の手の中でオイルパステルがふらふらと揺れ、石像がゆっくりと迫り来る。
風斬氷華は吹き飛ばされたまま、ただそれを呆然と見る。
身体の傷はとっくに治っている、心も逃げろと叫んでいる。
だが、どこへ逃げれば良いのだろう?
風斬は学校へ行くのも、給食を食べるのも、男の人と話すのも、自販機でジュースを買うのだって、全部が全部が初めてだった。
自分の存在が霧に浮かんだだけの幻影のようなものだという事実にどうして今まで気づかなかったのか。
風斬に逃げ場はない。
こんな醜い自分を温かく迎えてくれるような、そんな楽園はこの世界に存在しない。
スカートのポケットにはある白い少女と一緒に写った写真シールが入っている。
そこで楽しそうに笑っているインデックスは、知らない。
風斬氷華の正体がこんな化け物である事なんて、知らない。
自分の正体を知れば彼女は笑顔を失う。
自分は人の皮を被った、醜い化け物しかないのだから。
風斬のまぶたに涙が浮かぶ。
暖かい世界に居たかった。
誰かと一緒に笑っていたかった、一分でも、一秒でも構わないから。
少しでも穏やかな時間が過ごせるのならば、死にもの狂いで何にでもすがりたかった。
結局、彼女がすがって良いものなど、何もなかった。
「泣くなよ、化け物。
アナタガナイテモ、キモチガワルイダケナンダシ。」
大木すらたたき折る事の出来そうな石像の腕がゆっくりと迫る。
確かに死にたくない。
だけど、それ以上に、これから先誰にも必要とされないで、顔を合わせただけでみんなから石を投げつけられるような、そんな化け物として扱われるぐらいなら、ここで死んだ方がマシかもしれないと。
彼女はぎゅっと両目を閉じる。
これから襲い来るであろう、地獄のような激痛に身を固めていたが、衝撃は来ない。
いつまで経っても、何の音も聞こえない。
風斬氷華は、恐る恐るまぶたを開ける。
すぐ近くに、見知った誰かが立っているような気がした。
涙が視界を遮
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