第47話
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ってるよなぁ!!」
げらげらと笑い続ける女の前で、風斬の修復が始まる。
べちゃべちゃと湿った音を立て、ものの数十秒もしない内に顔の形が整ってしまう。
「ぃ、ひっ!?」
風斬は自分の身体に恐怖と嫌悪を覚え、シェリーは愉快げに言い放つ。
「くっくっ、しかしこれって殺すのも面倒臭そうね。
ああ、それなら試してみるか。
ひき肉になるまでぐちゃぐちゃに潰しても元に戻るかどうか。」
「ど、どう・・して・・・?」
「あん?」
「どうして、何で・・・こんな、こんな・・・・ひどい、事・・・っ!」
「んー?別に理由なんかないけど。」
その言葉を聞いて風斬は言葉を失う。
「別にあなたでなければならない理由なんてないの。
あなたじゃなくてもいいの。
でも、あなたが一番手っ取り早そうだったから。
理由はそんだけ。
な、簡単だろ?」
何だそれは、と風斬が思う前に、女はオイルパステルを振るい、石像エリスが倒れたままの風斬に拳を放つ。
彼女は何とか横へ転がったが、エリスの拳が地面を砕き、その破片が彼女の全身に突き刺さり、その衝撃で風斬の身体は跳ね跳ぶ。
あまりの痛みで頭が真っ白になるが、地面をごろごろ転がっている間に、みるみる修復されていく。
また死に損なった。
なのに、自分を殺そうとしている筈の女は、失敗しても表情を変えない。
まるで生きようが死のうがどっちでも良いと告げているかのごとく。
己の命をあまりに軽々しく扱われ、屈辱のあまりに風斬の瞳から涙が溢れた。
だが、そんな顔を見た金髪の女は興が削がれたような顔を浮かべていた。
「おいおい。
何なのよその面構えは?
えー、なに?
ひょっとしてあなた、自分が死ぬの怖いとか言っちゃう人かしら?」
「え?」
「おいおいおいおい。
ナニ当然ですっつー顔してんだよ。
いい加減に気づきなさいっての。
ここまでやられてピンピンしてるテメェがまともな人間なはずねえだろが。」
風斬はその言葉を聞いて血の気が引いていくような感じがした。
「なーに顔を真っ青にしてんだよ。
それで保護欲あおってるつもりか、そんなんありえないでしょう。
この世界からあなたの存在が消えた所で何か損失がある訳?例えば、ほら。」
金髪の女は、手の中のオイルパステルの側面を人差し指で軽く叩く。
瞬間、石像が真横に拳を振るった。
壁に直撃したその腕が、真ん中から千切れ跳ぶ。
「私があなたにしている事って、この程度でしょう。」
「あ・・・」
「化け物の手足が壊れた程度で、お涙頂戴なんてありえねーっつってんの。
分かってんのかお前?
何を物体に感情移入してんだよ。
モノに対して擬人化して涙
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