暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/stay night -the last fencer-
第一部
運命の夜の先へ
狂躁の夜を越えて(T)
[3/8]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
しなくてはならない日が来れば、彼は迷うことなく城を跡にする。
だからそれまでには、彼の背中を守れるぐらいには強くなりたい。
そうなれればきっと、いつものように、私を置いていくことはしないだろう。
「そうだなぁ、ざっと三ヶ月くらいか」
「え、もうそんなに時間ないの!?」
「そりゃあね。半年も休めば十分だろう。だからそれまでに、もう心配しなくていいくらいにはなってくれよ?」
「うー……頑張る……」
思ったより短かった制限時間に項垂れる。
服に纏わりついた粉雪をさっと払い、少女は剣を仕舞う。
「うん、今日はもうご飯にしよ!」
「わかった、それじゃあ稽古は終いだな」
「何が食べたい?」
「そーだなぁ……って、作るの俺だろ」
「ふふふ、そうだよー?」
屈託無い笑顔を見せる。
戦士として優秀で、魔術にも長けていて、料理も出来る。
少女から見れば、彼ほどの男は世界に二人と居ない。
愛しさを感じつつ、少女はいつものように青年にリクエストをする。
「私あれが食べたい、ほら、えーと……ビースト、ガノン?」
「なんだその魔獣みたいな名前。ビーフストロガノフだろ?」
「そう、それ!」
「ほんとアレ好きだなぁ。一週間に一回は食べてるぞ」
ぼやきながらも少女の言うことをそのまま聞き入れる。
少女も甘えすぎではあるが、青年も甘やかしすぎだろう。
青年の左腕に、少女は思い切り抱きつく。
「おい、当たってるぞ」
「当ててるのよ」
仲睦まじく話しながら、二人は城の中へと戻る。
きっとこの幸せは、永く続くだろう。
少女はそう信じて疑っていなかった。
共に旅に出て、決別することになる数年後のこと。
青年が彼女に稽古をつけていた理由。
それがいつの日か、世界に仇為す魔者となる自分を。
少女自身の手で────────
(ん……夢か……?)
言い知れない虚脱感から目覚める。
どこか別の時代、遠い異国の出来事。
見たことのある銀色の少女と、黒い青年の儚い夢物語。
周囲に幸福を振り撒くような仲睦まじさ。
嫉妬すら覚える幸せの形を見せられながら、二人が城に入るところで目が覚めてしまった。
(なんだろう、あの夢……いや、あれ?)
確か俺はバーサーカーと戦って、傷を負った士郎を家まで運んで。
遂に限界が来て、気絶するように眠ったはずだが…………
(……なんだ、逆さまになった山が二つ?)
霞がかった視界。
瞼を擦りながらゆっくりと目を凝らす。
降り注ぐ陽光を遮るように、視界を塞ぐ二つの
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ