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剣の丘に花は咲く 
第六章 贖罪の炎赤石
第四話 迫り来る脅威
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る不安に、学園に残った女子生徒たちは、戦争に赴いた恋人や友人のことを思い、段々と暗くなっていく。今ではもう、まるで学園全体でお葬式が行われているようだ。
 キュルケは早く学園から消えた赤い男のことと、その主人のことを思い、小さく溜め息をはいた。

「……シロウもやっぱり戦争にいったのかしら? ……でも、ルイズが戦争に行くことは反対していたみたいだし……はぁ……一体どこにいったのよ……」
「…………公爵家」
「え?」

 顔を両手で覆い嘆くキュルケに、タバサが本から顔を上げずにポツリと呟いた。顔から手を離し、タバサに顔を向けるキュルケに、タバサは本から顔を上げず口を開く。

「三日前の朝。ラ・ヴァリエール公爵の家紋が記された馬車を見た者がいる」
「……ルイズの実家……それは……色んな意味でヤバイ……かな?」

 何が? とタバサは尋ねない。ただ、本から顔を上げ、ホンの少しの間だけ目を閉じ、開くと同時にキュルケに顔を向けるとともに首を傾げ、

「自業……自得?」

 一言呟く。

「……そうとも……言うわね……」

 キュルケの顔に浮かんでいた悲しげな表情が小さな笑みに変わる。それは、苦笑いとも言われるものだ。口元に浮かぶ歪んだ笑みを、片手で揉みほぐしながらキュルケは再度空を見上げる。

「まあ、シロウのことだし。死ぬことはないと思うけど」
「……」
「……帰ってこられるかしら」
「…………」

 キュルケは誰に言うでもなく呟く。隣に座るタバサに問いかけたわけではない。ただ、自然に口元から溢れただけ。返事など期待していなかった。
 そんな問いに、

「まっ、大丈夫でしょ」
「えっ?」

 応える者がいた。
 後ろから唐突にかけられた声に、慌てて振り返ったキュルケの前には、

「そこいい?」

 長い緑色の髪を持つ、メガネを掛けた美しい女性が、キュルケの隣りを指差しながら立っていた。

「……ミス・ロングビル」
「食堂がガラガラでね。あんなところで食事してたら気が滅入ってしまうよ」

 ロングビルはキュルケの返事を待たず、驚き目を見開くキュルケの隣に座る。手に持っていた包みを膝の上に置くと、いそいそと開いていく。

「なんで外で食べようと思ってね。コック長に頼んでサンドイッチを作ってもらったのさ」

 聞いてもいないのに、ここに来るまでの経緯を説明をするロングビル。包みの中から取り出したサンドイッチをパクつきながら、隣に座るキュルケに視線だけを向ける。

「もぐもぐ……ん、ごく……で、シロウが帰ってこられるかってことだけど」
「え? あ、その」

 あっと言う間に一つのサンドイッチを胃の中に収めたロングビルが、懐から取り出したハンカチで口元を拭きながらキュルケに
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