第六章 贖罪の炎赤石
第四話 迫り来る脅威
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アルビオンの首都ロンディニウム。その南方に建つハヴィランド宮殿のホールでは、トリステインとの戦争に対する会議が行われていた。眩いばかりの輝きに満ちる白が満ちるホールの中心に設置された巨大な一枚の岩板の円卓の周りには、アルビオンの閣僚や将軍、そして彼らの王であるクロムウェルが座っている。
会議は紛糾していた。
トリステインとゲルマニアの連合軍が迫る中、有効的な対策が決まらないからだ。
「艦隊の数が多すぎる!」「このままでは持ちこたえられんぞ!」「どうするつもりだ!」閣僚や将軍が血走った目で口々に声を上げる。荒れる会議の中、クロムウェルは立ち上がると、落ち着いた声で諭すように声を掛けた。
「落ち着きなさい。大丈夫です、考えはある」
「「「おおっ!」」」
一斉にクロムウェルに視線が集まり、どよめく声がホールに響く。
「それで、その考えとは?」
「連合軍は、このアルビオンを攻めるため全軍を動員するが、それが出来るのはガリアが中立声明を発表したから……だが」
クロムウェルはそこで一旦言葉を切ると、背後に建つシェフィールドに視線だけを向ける。シェフィールドはクロムウェルと視線が交わると小さく頷いてみせた。
「そもそもその中立が偽りだったとしたら……どうなる?」
ざわりとホールが再度ざわめく。
ガリアの中立が嘘だという言葉に会議に座る者の顔が明るくなり、自分たちの勝利を確信した言葉を
口にする。悲観的な言葉に満ちていた空間に、今度は楽観的な言葉が満ち始めた。そんな中、一人の男が未だ立ったままのクロムウェルに質問をかける。
「ガリアを味方につけるとは、一体どのような魔法を使われたのですか? やはりそれも『虚無』と何か関係が」
向けられる視線と言葉に、クロムウェルはにっこりと笑みをひとつ返す。
「高度な外交機密なので内容は話せないが、これは信じてもいい情報だ」
「ふむ……そうですか」
自信に満ち溢れたクロムウェルの様子に男、ホーキンスは目を伏せて考え込む。
ガリアが味方にいるとなれば、例えアルビオンに連合軍が上陸したとしても、ガリアが二国の背後を脅かせば連合軍は撤退を余儀なくされる。ならばこの戦、我らが負ける道理はない……か。
「わかりました。それでは――」
ホーキンスは重々しく頷くと立ち上がった。それにつられるように、円卓に座る将軍たちも立ち上がり、クロムウェルに向け一斉に敬礼をする。クロムウェルが将軍たちに向け鷹揚に頷くと、将軍たちは自分たちが指揮する軍の下へと歩き出した。
会議が終わり、クロムウェルはシェフィールを伴って執務室に戻っていた。
執務室を照らす魔法の光の光量は少なく、広い執務室の端にまで届いていない。明かり
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