第一章 グレンダン編
天剣授受者
嫌よ嫌よも好きのうち
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」
今はそれでいい。だが近いうちにお前は選ばなきゃいけない。
「な、にを」
世界を滅ぼすか、救うか、静観するか、それとも――
そしてシキの意識はぷつりと切れた。
目を覚ましたシキの目の前には、目を閉じてこちらに近づくクラリーベルだった。
何故か、顔が赤いがシキは右手でオデコをきっちり掴む。
そして周りを見ると豪華そうな豪華な装飾品が飾られている。それには見覚えがあった。むしろ覚えていないほうがおかしい。シキがクラリーベルとの訓練が終わったあとに泊まる部屋だ。
通りでベッドの感触が最高級なのに、自分のもののように感じられたわけである。
「……なにしてる?」
「様子を見ようかと、って痛い痛い痛い!!」
ギュウ! と音が出るくらい強く掴むシキ。こういう類のイタズラは過去に何度もされているので、シキは容赦しなかった。まぁ、跡は残らないようにしているだけだが。
基本的に、シキは色恋沙汰には興味がない。まだ幼いことも影響しているのだろうが、一度、女性武芸者の顔に消えない傷を残してしまい、デルボネに説教されてからは顔には手加減しようと考えている。顔だけだが。
数分ほどそうしていると部屋の扉が開く。
そこにはゆったりとした服装に身を包んだ老人が立っていた。しかし、その体から出ている剄の色は老いておらず、本当に老人なのかわからなくなる。
彼の名前はティグリス・ノイエラン・ロンスマイア。グレンダンの三王家の1つ、ロンスマイア家の現当主にて、クラリーベルの祖父で、デルボネを除けば最高年齢の天剣であり、シキの師匠である。
「ふむ、起きたようじゃな」
「……すいません、お世話になってます」
シキはそう言って、ベッドから上半身だけ起き上がらせて頭を下げる。
ティグリスはシキが敬意を払う数少ない相手だ。シキは師事をもらう相手には敬意を払う。しかしながら、天剣たちのほとんどがそういう堅苦しさは癖陽としており、敬語はとっている。
ティグリスは頷きながら口を開く。
「クラリーベルが泣きながらきたもんだからどうしたかと思ったら、お主が倒れていたらしいからの」
「倒れて……あぁ、そうか倒れたのか俺」
ティグリスに言われて、倒れた直後を思い出す。そのあとの記憶が靄がかかっているように不鮮明だが、おそらく今の今まで寝ていたのだろうとシキは自分を納得させる。
「な、泣いていませんよ!」
「ハッハッハ、そうだったかの? 確か目を真っ赤にさせながら――」
クラリーベルは顔を真っ赤にさせながら、泣いたことをなかったことにしようと必死になっているが、ティグリスは笑いながら当時のクラリーベルの様子をシキに伝える。
彼女の名誉で要点だけまとめるとこうだ。
三時間前、外に出ていたクラリーベルは路上に倒
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