第一章 グレンダン編
天剣授受者
嫌よ嫌よも好きのうち
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番はもっと先だろ?」
「……誰だ」
そこにいたのは、仮面をかぶった男だった。
右手を顎の下に置き、疑問を表すように首を横に倒す。
対するシキは、仮面の男に威圧されていた。男は何もしていない、ただ質問し疑問に感じているだけだ。それだけなのにシキは膝がつきそうなほどの威圧感を感じる。
知らず知らずのうちに剄を出しながら、男の威圧に対抗する。
「待て待て待て、落ち着けよ、戦う気はまったくない」
「そ、うか」
かすれ声で出せたのがこれだけだった。剄が何かに押されて、徐々に弱くなっていく。そして男の威圧感は高まっていく。シキはもはや立ってられなくなり膝をつく。
「おーい、顔色悪いぞー。人間なんだから、ちゃんと寝てちゃんと飯食わないと」
「……」
もう口も開けない、両膝をついてしまった。
そんなシキを見て、仮面の男は手のひらを打ちながら軽い調子で言った。
「やっべ、気配出しすぎてた!? 薄めないと死ぬなコイツ」
「――ガハッ!!」
一気に威圧感がなくなり、シキは息を吐いた。そして咳き込みながら、男を見る。先程まで感じていたのが、男が言うとおり気配だというのなら只者ではない。むしろこれまでの言動から人間ではないかもしれない。
「すまんな、普通にしていてもお前らにはキツイもんな。いやー、でもここまで耐え切れるんなら対したもんだ」
「誰なんだよ! あんたは!!」
まるでコチラの存在を鑑賞動物にしか見ていない声に、シキもさすがにキレてしまった。だが男は気にした風もなく、仮面をトントンと指で叩きながら唸り声を上げる。
「そりゃ言えないな。まだその時じゃない、慌てなさんな」
「いい加減にしやがれッ!!」
酷くシキは目の前の人物が気に入らなかった。なぜかはわからない、だがムカつく。
腕には大量の剄が練られており、すぐにでも放てる。普段のシキならそこで止めていただろう、だが今のシキには止めるなんて選択肢はなかった。
腕を振りかぶり、そのまま衝剄を放つ。
威力的には前回の老生体戦でシキとレイフォンが放った焔切り・襲と同等の剄であり、普段抑圧されているシキの剄力の高さを物語っていた。
「ふむ」
男は動かない、ただ人差し指を立てて襲いかかる衝剄に向けた。
シキはそれを見て笑った。そんなことをしてどうにかなるものかと……しかし、それは数秒後に否定される。
「中々の一撃ジャマイカ」
「はっ?」
男の指に当たった一撃は、一瞬で霧散した。当たった時の衝撃も、痕跡もない。男は愉快そうに笑いながら、シキに言う。
「まぁ、案の定だったな……と、話はここまでだ」
男は肩をすくめながら、めんどくさそうにする。シキは目を白黒させながら、まだ衝剄を消されたことに呆然としていた。だが近づく複数の気配を感じて、身構える。
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