第一章 グレンダン編
天剣授受者
嫌よ嫌よも好きのうち
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分が男なのか、女なのか。
綺麗なストレートの髪、ふっくらとした唇、整った顔立ち、どれをとっても一級品だ。ただし女という観点から見た場合だ。男からしたら異端でしかない、幼少期は少女っぽい子もいるだろうが、時期に男らしくなっていく。レイフォンもそうだった。
レイフォン、同じ歳で、同じ時期に院に入り、同じように武芸者の力を持っている。シキなんかよりも何倍もうまく生きているし、何倍も優しい、なにより姉であるリーリンと自分よりも仲良しだ。
いっつも隣にいたシキはそれを見せ続けられ、自分とレイフォンの差を何度も教えられてきた。シキはレイフォンのことが大嫌いだった。それは十歳になった今でも変わらない。
そんな風にネガティブになろうとしていたシキの頭に、勢いよく何かが激突する。
「がぁっ!?」
普段なら避けれたはずなのだが、寝ぼけたシキには酷な話だった。
頭を数十秒抑えながら悶絶していると、どたどたと階段を上がる音が聞こえた。そして勢いよく扉が開かれるとその人物は、レイフォンは固まる。
「あ」
「……レ イ フ ォ ン ?」
ゆっくりとシキは頭から手を離す。そしてゆらゆらと揺れながら、ベッドの脇に錬金鋼を手に取る。この前の老生体討伐で入った大金で新調した刀だ。素早く復元させて、レイフォンに向ける。
「いやごめんわざとじゃないんだたまたま……そうたまたま木刀があったら懐かしくて振ったんだよそしたら折れて偶然シキに当たったんだ」
ひと呼吸でそこまで言い切るレイフォンは、ジリジリと後ろに下がっていく。そしてシキもジリジリと前に詰めていく。その表情は髪の毛で見えないが、雰囲気でわかるキレている。
「そうか、たまたまか。じゃあ仮にたまたまだったとしても、衝剄で迎撃できただろ? なんでしなかったんだ?」
顔を上げたシキは溢れんばかりの笑顔でレイフォンに言う。だが、レイフォンは体の悪寒が止まらなかった。目だ、シキの目に光がないのだ。ハイライトを失った目は、シキの美貌と相まって並みの恐怖映画を超えていた。
「え、えっと、それは……」
「俺の部屋に向かったからだろ? レイフォン」
錬金鋼に徐々にだが剄が収束されていく。レイフォンは苦笑いをしながら逃げる準備をする。
「……そうだと言ったら?」
「え? 首と身体がサヨウナラ言うだけだが?」
レイフォンは泣きそうになる。そういえば、休日を邪魔されることはシキにとって一番嫌いなことだったなぁ、と他人事のように考えた。
シキはニッコリと笑ってから、真顔になった。
「死ね、くそったれ」
「死ぬるかぁあああああっ!!!」
その後、シキとレイフォンは六時間に及ぶ大追跡劇を繰り広げるが、リーリンに見つかり仲良く怒られてから、一日ごはん抜きの罰を与えられた。
シキとレイフォンは確かにお
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